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「PK戦の勝敗」を分ける"たった8%"の残酷な差 超一流プロも逃れられない「認知バイアス」の罠

東洋経済オンライン / 2024年6月21日 17時0分

「外す勇気を持つこと」が勝敗に影響を与えているという(写真:alphaspirit/PIXTA)

2022年に行われたFIFAワールドカップのカタール大会と2010年の南アフリカ大会。日本代表はいずれもPK戦で敗れ、念願のベスト8進出はかないませんでした。どうすればPK戦の壁を越えられるのでしょうか。東京大学大学院で行動経済学・認知科学を専攻し、スポーツのデータ分析に従事する今泉拓氏によると、PKを成功させる秘訣は「外す勇気を持つこと」だといいます。

※本稿は今泉氏の著者『行動経済学が勝敗を支配する 世界的アスリートも“つい”やってしまう不合理な選択』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

2010年ワールドカップ、駒野選手の「悪夢」

サッカーファンにとって、2010年ワールドカップ、パラグアイ戦の駒野友一選手のPKは、忘れられない記憶ではないでしょうか。

【図で見る】PKの成功率が高いシュートコースが一目瞭然

全員成功で迎えた3人目、駒野がゴールの右上隅を狙ってキックすると、シュートはバーに当たって失敗。パラグアイは全員PK を成功させたため、日本は敗退。結果的に駒野が外したことでベスト8の夢は断たれることとなりました。

駒野はこの大会で全試合に先発し日本代表を支えてきましたが、まるで駒野のせいで負けたような扱いをされることもありました。

PKの失敗が悲劇的なエピソードとして語られるのは、なにも日本だけではありません。

1994年のアメリカ・ワールドカップ決勝戦におけるイタリア代表のロベルト・バッジョのPK失敗は、世界サッカー史に残る有名なエピソードとして知られています。

決勝のブラジル戦、試合は激闘の末、決勝史上初のPK戦にもつれこみました。ブラジルが3-2とリードした場面で、イタリア代表は5人目のキッカーとしてエースのバッジョがスポットに向かいます。

実は、バッジョのキャリア通算PK成功率は88%(108/122)と、平均と比べてもかなり高いのです。しかし、外せば敗退が決まる場面で、名手のキックはクロスバーのはるか上へと飛んでいきました。

立ち尽くすバッジョの姿は、悲劇のヒーローとして2020年代になってもメディアで紹介されることがあります。

バッジョの例も、駒野の例も、PKを止められたのではなく、外した点が共通しています。

PKにまつわる「不可解」なデータ

では、実際にPKはどのコースに蹴ると成功しやすいのでしょうか?
驚きのデータがあるので紹介します。

キッカーから見てゴールを6分割します(高さについて:上段・下段。左右について:左・中央・右)。各コースの成功率を計算すると下の表のようになります。

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