ついにLINEペイも撤退、瓦解するLINEの金融事業 LINEが描いてきた「経済圏」は画餅に終わるか
東洋経済オンライン / 2024年6月21日 8時20分
2016年には実店舗での利用も可能になるが、LINEペイが打ち出したのはスマホ決済だけでなく、LINEペイの残高に連動するプリペイドカードだった。やはり、クレジットカードを持たない層を意識したサービスだ。LINEペイはQRコード決済の普及よりも、信用力の低い若年層に金融サービスを提供し、自らの「経済圏」に引き込むことを主眼とした。
実際、LINEは2018年頃から広告に次ぐ収益柱として金融事業を掲げている。1月に金融持株会社であるLINEフィナンシャルを立ち上げると、6月には野村ホールディングス(HD)と合弁でLINE証券を設立。11月にはみずほフィナンシャルグループと共同でLINEバンクの構想も発表した。
とりわけ決済という身近な金融サービスを提供するLINEペイは、若年層とLINE経済圏との接点を生む「先兵役」となるはずだった。銀行や証券など、経済圏の構築に必要なパーツがそろいつつあった矢先、その行く手を阻んだのがPayPayの猛攻だ。
PayPayが電撃戦に打って出た実店舗でのQRコード決済は、加盟店舗数の少なさというLINEペイの「急所」を突いた。PayPay上陸前夜の2017年末時点で、LINEペイの加盟店舗数は自動販売機やネット通販を含めても数万拠点。数百万単位で競う昨今のスマホ決済サービスとは歴然の差だ。
「2017年の年間決済高は4500億円超、アカウント登録者数は4000万人」。当時、LINEはLINEペイの利用実績をこう強調したが、いずれも事業が好調な台湾なども含めた数値だ。国内事業を管轄するLINEペイの単体売上高は、2017年12月期でさえわずか2.1億円にとどまった。
PayPayとの競争が本格化した2018年はLINEペイも加盟店の開拓を急ぎ、年末には133万拠点まで増えた。だが、コード決済が利用できる店舗はほんの一部。増加分の大半は、JCBの「クイックペイ」での支払い時にLINEペイの残高が利用できるようになっただけの店舗だ。対するPayPayはどぶ板営業で攻勢をかけ、わずか半年で加盟店舗数を50万まで伸ばした。LINEペイの先行者利益は瞬く間に霧散した。
PayPayは決済市場での地位を固めつつ、やがてLINEの金融事業全体を侵食していく。2018年11月には早速、加盟店向けの決済サービスでジャパンネット銀行(現PayPay銀行)と提携し、2020年にはスマホ証券のOne Tap BUYがソフトバンク傘下に入り、翌年にはPayPay証券へと鞍替えした。
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