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それでも霜降り明星・粗品が毒舌を貫く3つの理由 「無意味な噛みつき」が芸として面白い

東洋経済オンライン / 2024年6月25日 13時0分

だが、粗品が本当の意味で誰かを理不尽に罵ったりしたことは、私の知る限りでは一度もない。あくまでも彼の中では筋が通っていることだ。

たとえば、粗品が宮迫を批判するのは、宮迫が闇営業問題を引き起こした当事者だからだ。吉本興業に所属している粗品は、その影響でいくつかの仕事を失っている。だからこそ、宮迫には恨みを抱いているのだとテレビでもYouTubeでもさりげなく語っている。

「先輩を呼び捨てにするのは失礼だ」という一般論は正しいかもしれないが、迷惑をかけられた立場の人が、騒動を引き起こした当事者を呼び捨てにしたくなるのはそれほどおかしいことではないのではないか。

木村に挨拶を無視されたという件も、被害者として事実を語っているだけだし、誰かを「面白くない」というのは個人の感想に過ぎない。

もちろん、わざわざ名指しで面白くないと言うことはないだろう、というのもわかるが、「失礼ボケ」とはそういうものだ。本人が「おい、失礼だろう」と反論すれば、それはそれで1つのやり取りが成立して盛り上がるかもしれないし、実はほかの人もその対象のことを面白くないと思っていたのであれば、共感して笑ってもらえることもあるかもしれない。

多くのファンがついている

率直に言うと、「YouTuberは面白くない」などということは、少なくない割合の人間が日頃から思っていることであり、粗品は単にそれを口にしただけだ、とも言える。

今の粗品は批判も受けているが、それ以上に多くのファンに愛され、熱烈に支持されている。テレビやラジオなどで活躍するのはもちろん、個人のYouTubeチャンネルの登録者数も200万人を超えている。

YouTubeなどの世界では、誰かに噛みつくような過激な言動をする人が一時的にもてはやされることはある。ただ、何の工夫もなくいたずらに他人を傷つけるようなことだけをやっていれば、すぐに飽きられてしまうし、一時的に注目されることはあっても、好かれることはない。

毒舌キャラはエンタメの1つ

その点、粗品は表立って見せているすべてのことをエンターテインメントとして捉えているようなところがあり、毒舌キャラもその1つに過ぎない。芸人の「芸」としての過激さを見せているからこそ、粗品は多くのファンに愛されているのだ。

ここまで説明しても納得できないアンチ粗品派の人のために、最近、爆笑問題の太田光が「粗品の何もそこまでやらなくてもいいだろうっていう無意味な噛みつきは、芸人としては面白い」と語っていたことも付け加えておきたい。

そう、なんでそこまでひどいことを言うんだよ、というところが「失礼ボケ」の本質なのだ。無意味だから面白い。太田がテレビの舞台に登場するときに、客席に飛び込んで暴れたりするのと同じだ。

なんでそんなことをする必要があるのかと言われたら、もちろんする必要はないし、しなくていい。でも、しなくていいことをするところに面白さがあるのだ。

もちろん、粗品の言うことが面白くないと思う人が無理に笑う必要はない。ただ、それを面白いと思う人がいる限り、粗品は芸人であり、粗品のやっていることはエンターテインメントだと言えるのだ。

ラリー遠田:作家・ライター、お笑い評論家

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