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北朝鮮の「兵器工場化」を目論むプーチン大統領 ウクライナ支援を拡大する西側に最終核戦争の恫喝

東洋経済オンライン / 2024年6月25日 9時0分

しかしロシア軍のこの北朝鮮製砲弾への評判は極めて悪かった。砲撃に使う前に爆発したり、公表されていた射程通りに飛ばなかったりと、品質に大きな欠陥があった。

このため、ロシアとしては北朝鮮に製造技術を提供、さらに電力や石油も提供することで、兵器生産国として大きな潜在的能力を有する北朝鮮の軍需産業を立て直す構えとみられる。北朝鮮にとっても、兵器産業の近代化は大きな利益をもたらすことになる。

北朝鮮との軍事協力については北朝鮮軍部隊を義勇軍的兵力として派遣するようロシアが求めるのではないか、との観測も出ていたが、プーチン氏が「その必要はない」と明確に否定した。

一方で、今回の北朝鮮、ベトナム訪問の中で目立ったのは、ウクライナへの軍事支援を拡大する米欧を強く牽制するために核兵器使用の可能性に直接、間接的にしばしば言及したプーチン氏の焦りだ。

具体的には、アメリカが超小型の新型核爆弾を開発しているとして、核使用の条件を定めた核ドクトリンの見直しに言及した。そのうえで、ハノイでの記者会見でプーチン氏は不気味な発言を行った。

西側がウクライナの戦場でロシアの「戦略的敗北」を狙っているとの表現で、これまでにない危機感を表明したのだ。そして、プーチン氏は「これは、ロシアの国家としての終わりであり、ロシア国家の千年に及ぶ歴史の終わりである」と述べた。

プーチンの「空虚な警告」

この表現は、以前からプーチン政権が西側に対し、軍事的に追い込まれれば、勝者なき、最終的な大規模核戦争に踏み切ることも辞さないとの威嚇を行う際に使ってきた発言を想起させるものである。

つまり、ウクライナと西側がロシアへの大掛かりな攻撃を始めるならば、全面的核戦争も辞さないとの警告を行ったことを意味する。これに対し、西側外交官の1人は「空虚な警告だ」と吐き捨てた。プーチン政権が、ロシアへの軍事的対抗姿勢を強める米欧に対し、焦りを深めていることを物語っている。    

吉田 成之:新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

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