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岸田首相、"四面楚歌"でも「とにかく明るい」理由 ライバル不在、総裁選出馬なら「現職有利」と見込む

東洋経済オンライン / 2024年6月25日 11時0分

これに対し岸田首相の周辺からは「首相は会期末解散見送りを決断した際、党・人事も行わず現体制で総裁選に臨む意向を固めた。しかし、それを秘して党・内閣人事をちらつかせて党内を牽制する一方、ポスト岸田候補に総裁選出馬をためらわせる策謀を練っている」(最側近)との声も漏れてくる。

自民支持層での「岸田支持」はなお健在

国会閉幕に合わせた主要メディアの世論調査をみると、「次の首相」での人気度で石破氏がトップを独走し、岸田首相は下位に低迷している。ただ、自民支持層に限ると岸田首相は1~3位とジャンプアップする。だからこそ旧岸田派からも「自民総裁選は国民的人気より党内の支持がカギで、現状なら総裁再選も十分狙える」(有力幹部)との声が出るのだ。

そこで関係者が注目したのが、国会閉幕直前の6月19日、3年ぶりに開催された「党首討論」でのやり取り。同討論で初めて岸田首相と対峙した泉健太・立憲民主、馬場伸幸・日本維新の会、田村智子・共産、玉木雄一郎国民民主の各代表・委員長はそれぞれ、「今、国民に信を問え」(泉氏)「直ちに退陣を」(馬場・玉木氏)などとそれぞれの立場から厳しく攻撃した。

これに対し岸田首相は、これまでの紳士的対応をかなぐり捨て、「私は四面楚歌とは感じていない」「課題が山積しているからこそ、結果を出さねばならない」「(政治改革では)禁止、禁止、禁止というだけで、現実をみることがない」などと強い口調で反論した。

この強気の言動について、与党内でも「単なる強がり」(閣僚経験者)と冷笑する向きが多い。その一方で「持ち前の“鈍感力”で『とにかく明るい岸田』を演じ切ることで、総裁再選を狙っているのは間違いない」(自民長老)と岸田首相の心中を見透かす声もある。

「再選前提」の物価対策にも政府内から反発

岸田首相はその2日後の6月21日夕、事実上の国会閉幕を受けて首相官邸で記者会見。その中で改めて総裁再選に意欲を示すとともに、7月以降に想定されている物価高への対応策として①8月からの電気・ガス料金の負担を軽減する補助金の再開②低所得者世帯などへの給付金追加の検討――などを表明した。これは「総裁再選がすべての前提」(同)ともみえる。

ただ、財務、経済産業両省への事前説明はなかったとされ、「首相の独断専行で、まさに『孤立の独裁者』そのもの」(財務省幹部)との反発も相次ぐ。このため、政府与党内にも「岸田首相がいくら人気取りの政策を連発しても、現状の支持率低迷から抜け出せない限り、『とにかく明るい岸田』も逆に国民の反感を買うだけ」との厳しい声が広がる。

泉 宏:政治ジャーナリスト

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