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任天堂、「脳トレ」をヒットさせた驚きの海外戦略 ゲーム「ローカライズ挑戦」の知られざる軌跡

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 12時0分

2005年の春に発売された「ブレーンエイジ」はこれまでと違い、日本のDSの売上に永続的な影響をもたらしていた(写真:しん/PIXTA)

2005年に発売され大ヒットとなった「脳を鍛える大人のDSトレーニング」。日本でのブームに胸を踊らせた任天堂の岩田聡氏とレジー・フィサメィ氏はこのゲームの西洋マーケットでのローカライズに取り組む。

アメリカ任天堂社長となり、ゲーム業界の歴史において最も強力な人物の1人となったレジー・フィサメィ氏。5月22日、彼の35年間の人生とビジネス哲学をまとめた『崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男』が発売された。言語や文化の壁を乗り越えようとする挑戦について、本書より一部抜粋のうえ、再構成してお届けする。

「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の大ヒット

任天堂にいた頃の私にとって、新たなフェーズへの入り口となったのが、「ブレーンエイジ」(脳を鍛える大人のDSトレーニング)の開発と発売だ。私がより積極的に構想をプッシュしたことで、西洋のすべてのマーケットに結果をもたらすことになる。

【写真】「週刊東洋経済」2006年12月9日号、2016年10月8日号で掲載した川島隆太教授のインタビュー記事

2005年の春に発売された「ブレーンエイジ」はこれまでと違い、日本のDSの売上に永続的な影響をもたらしていた。このゲームではタッチスクリーンとマイクを使ってパズルを解く。日替わりのパズルを解きながら自己チェックして自分の「脳年齢」を知り、ゲームをしながらこの年齢を下げていくのだ。

「ブレーンエイジ」は、川島隆太教授の研究が基になっている。川島教授は脳科学者で、日本の東北大学の教壇に立ち、研究を行っている。彼の研究は書籍化され、脳年齢の理論や様々なパズルを売りにして、日本でベストセラーになった。

任天堂のゲーム「ブレーンエイジ」は、岩田氏と川島教授が教授の理論をゲームにどう活用するか、アイディアをブレーンストーミングした結果生まれたものだ。このゲームは5カ月足らずで開発され、2005年5月19日に日本で発売された。

ビデオゲームでパズル、算数、音読など、本来なら楽しくないはずのエクササイズを楽しく変えた以外にも、「ブレーンエイジ」とそれがもたらす結果は、様々な面でこれまでと違っていた。

このゲームのターゲットは、これまでビデオゲームをやったことのない人たちだ。こうした人たちはニンテンドーDSを持っていないため、ゲームをするには子どもや孫から借りるしかない。その後も引き続きこのゲームソフトを楽しむために、自分用のハードウェアを購入する。これは大きな買い物になるはずだが、日本のマーケットで実際にこうした現象が起きていた。

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