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「椿山荘」の含み益が狙い?藤田観光の株価急騰 DOWAが保有する31%超の株の行き先に熱い視線

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時30分

一方、3Dといえば、大手飲料メーカーのサッポロホールディングスの株式16%を保有し、経営改革を経営陣に対して要求したことが記憶に新しい。3Dの推薦した社外取締役2名が就任し、保有不動産の売却も検討する方向へとサッポロに舵を切らせた。

椿山荘はビジネスホテルより低い利益率

藤田観光に対しても保有不動産の売却や経営改革を迫る可能性がある。「収益性の低い椿山荘の運営利益向上や一部資産売却を要求することも考えられる」。立教大学でホテルアセットマネジメントなどを教える沢柳知彦特任教授は、そう指摘する。

椿山荘の売却を迫るにあたって予想される攻め口は収益性の向上だ。

椿山荘は藤田観光にとって象徴的な存在のホテルだが、利益率に課題を抱える。椿山荘などを含むラグジュアリー&バンケット事業は、2023年度の売上高が178億円、営業利益が12億円で営業利益率は7%程度。一方で、同社の稼ぎ頭であるビジネスホテル事業の営業利益率は15%に上る。

ホテルで最も採算性の高い部門は宿泊部門だ。人件費や材料費のかかる宴会や婚礼、レストランの収益性は低い。椿山荘は宴会や婚礼、レストランが売り上げの大半を占める。椿山荘を売却し経営資源をビジネスホテル部門に集約すれば、利益を上げることができるとの指摘は成り立つ。

その指摘の前提としてあるのが、椿山荘の抱える莫大な含み益だろう。東京ドームがすっぽり入る4万9000平方メートルもの椿山荘の土地は、藤田観光が所有している。バランスシートに計上されている価格はわずか4900万円。取得時の価格であるため、実態とは乖離がある。

国土交通省が毎年発表している地価公示価格によれば、周辺の地価は1平方メートル当たり100万円程度だ。この数字を基にすると、椿山荘の価値は土地だけで約500億円になるとみられる。

よほどのことがなければ「死守」

業界を見渡せば、規模拡大を狙った再編が始まっている。

中堅ホテルチェーンのポラリス・ホールディングス親会社で独立系の投資運用グループであるスターアジアグループが、国内ホテル運営会社のミナシアを買収した。業界中堅のグリーンズやフランスの世界大手アコーなどによる大型の運営受託も増えている。

DOWAと藤田観光にとって椿山荘は、藤田家のゆかりがある由緒ある資産だ。藤田観光の伊勢宜弘・前社長(現会長)は2021年の東洋経済のインタビューに、「よほど会社がおかしくならない限り、椿山荘は死守してやっていきたい」と語っていた。

3Dの登場を機に、DOWAが藤田観光の経営方針を尊重してくれるホワイトナイトを探す展開も考えられる。

星出 遼平:東洋経済 記者

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