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悩むマンション購入、どの売り主から買えば得か? データから値上がり率が高い上位10社を算定

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 9時30分

今回はマンションの売り主にスポットを当てます(写真:yama1221/PIXTA)

値上がりしやすいマンションの要件

私が新築マンションを買うときに、狙い目となる基準の1つに「売り主」がある。値上がりしやすい売り主が存在するからだ。今回のコラムでは、どの売り主が最も値上がりしやすいかを調査した。

【表】独自算出「どの売り主が最も値上がりしやすいか」ランキング

前提として、マンションが値上がりしやすい要件は主に2つある。

1つ目は「いつ買ったか?」で、販売年で判断する。直近の相場上昇は2013年の金融緩和に始まり、以降一貫して相場は上昇してきている。そのため、2013年の新築の値上がり幅が最も大きく、平均50%になる。この値上がり率は直近ほど経過期間が短いので、小さくなる傾向がある。

2つ目は「どこに買ったか?」で、行政区で判断する。都心のほうが値上がりしているのは事実で、立地がいい物件は中古になってからの取引量が多い。

それを踏まえたうえで、どの売り主が最も値上がりしやすいかの算定方法は以下のとおりだ。

まずエリアを都区部に限定し、2013年以降に販売されて2022年までに竣工した新築物件全件を対象に、2022年以降に成約した住戸の新築時の価格との比較で、値上がり率を算出する。

次に、前述した1つ目の要件である「いつ買ったか?」の傾向を排除するために、販売年の平均値上がり率を引いて、その物件の「超過値上がり率」を算出する。つまり、その年の中では比較的値上がりした割合を「超過値上がり率」として、これを売り主で平均して算出している。

大手デベロッパーは毎年一定数の供給をしているので、「いつ買ったか?」は補正する意味があるが、「どこに買ったか?」は都心に多く、郊外に少ないといったデベロッパーで偏りがあるので、これは補正しないということだ。

この結果で平均を上回る売り主は10に限定される。ちなみに、一定のサンプル数がある売り主は21で、約半分が平均以上になる。マイナスとなった11の売り主は公にしにくいので、筆者の運営する無料会員制サイト「住まいサーフィン」でのみ開示することにする。

ランキングの1位、2位は三井・三菱の財閥系になる。立地に優れ、物件属性もタワーや総戸数の多い大規模物件が多い。新築時の販売手法は比較的おしとやかで、高い価格設定を売り切っていくスタイルではない。しかし、中古になったら、財閥系のネームバリューの安心感から買い手が付きやすい。ブランド力は売り主にとっての強みというより、購入した個人の売却時の強みとして働いている感がある。

3位は、建て替え案件が目立つ旭化成で、好立地の物件を比較的安価に実現しているように思われる。定期借地権物件同様に、土地を買わない新築分譲案件は狙い目であることは覚えておこう。4位東急不動産、6位東京建物、9位野村不動産とトップ2の5社がメジャー7としてこのトップ10に入っている。ちなみに、残る2社は住友不動産と大京になる。

大規模な物件はジョイントベンチャーが多い

このランキングは、売り主が単独の物件だけで算出している。それゆえ、売り主ごとのブランド名がついた物件だけが対象となっている。しかし、大規模な物件ほど、複数の売り主が並ぶ形になっていることが多い。これをJV(ジョイントベンチャー)という。

JVは無数の組み合わせがあるので、どこがいいとはいえず、物件ごとの結果となる。超過値上がり率が40%を超える物件は8つで、そのすべてが好立地・大規模・タワー物件となっている。

つまり、売り主の隠れ1位は実はJVなのだ。ということは、売り主よりも強い傾向を示すのは、立地・総戸数・建物階数だという現実である。

これらの物件に連なる売り主はメジャー7(住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス)が多い。

この8物件の中に、三井不動産レジデンシャルは6物件、野村不動産は4物件、東京建物は3物件に名を連ねている。大手ばかりだから安心という風に素人目には見えるかもしれない。しかし、JVには泣き所がある。売り主数が多くなるほど、合意が取りにくい点だ。この8物件の平均の売り主数は4を超える。

間取りや共用部などは資産性に影響を与えない

機動的な合意形成が取れないという欠点で、その問題を露呈したのが、晴海フラッグだろう。売り主数は10社で、販売方法から価格の設定までさまざまな紆余曲折があって投資マネーの対象となり、自宅として住みたい人が買えない物件になってしまった。

この物件は土地価格を公示地価の10分の1以下で購入しており、原価が低いので、販売価格はいかようにでも設定できた。その中で「1世帯1物件まで」「5年間転売・貸出禁止」などの条件設定をすれば、投機の対象になることはなかった。過去にそうした売り方をして思惑どおりになった事例は不動産事業者なら知っていたはずだ。

しかし、それゆえに上昇相場においては、含み益が出る確率が高くなる。なぜなら、販売価格を上げる合意形成が取りにくいからだ。物件を選ぶ際には、立地・総戸数・建物階数、そして売り主を見ることが最優先事項である。それは、物件ホームページの隅に物件概要として小さな文字で書いてある。

ちなみに、私は物件に興味を持った際に見るのは、物件概要と地図だけだ。コンセプトや間取りや共用部などは、資産性にはほぼ影響を与えないと思っておいたほうがいい。全戸を売り切るまでに時間がかかる総戸数が多い物件で、売り主の数が4つ以上あると、値上がりの可能性が高いリスクリターンがいい物件の条件を満たしたことになる。

沖 有人:不動産コンサルタント

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