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ドンキ「ほぼバイトで営業」店を密かに増やす事情 昨年10月から実験開始、現在は都内5店で展開

東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時40分

本巣氏は自身もメイトとしての勤務経験があり、メイトの「実力」を理解していた。メイトは店舗周辺に住んでいることが多く、地域の実情をよく知っている。原則異動がないため、店舗での勤務歴も長い。

一方、本巣氏はメイトとコミュニケーションをとる中で、「私は社員じゃない。バイトだ」という意識から、実力を十分に発揮できていないメイトが多いことも感じていた。「ドンキは実力主義を標榜する会社。なのに社員とメイトという違いだけで仕事に差がある」(本巣氏)ことに違和感もあったという。

そこで北千住西口店で、思い切ったメイトの登用を進めた。

ドンキ社内では各カテゴリーの責任者を「MDプランナー」と呼ぶが、そのMDプランナーにメイトを任命。2023年9月に閉店となった町屋店(荒川区)を含む近隣店から、実績のあるメイトを北千住西口店に送り込んだ。

メイトがMDプランナーになっても、その役割に変わりはない。MDプランナーはそのカテゴリー全体に責任を持つ。通常、メイトは売り場だけを任されるが、MDプランナーは各売り場の数値目標の設定や売り場作りの指示、発注計画の確定まで担う。メイトの勤務シフトの管理やクレーム対応といった管理業務も、MDプランナーの仕事だ。

通常は店長など社員が取得する資格、例えば大型事業所を運営するのに必要な衛生管理者や、コンタクトレンズ販売に必要な高度管理医療機器等管理者などもメイトが取得し、店舗の責任者として登録しているという。

このような社員からメイトへの業務移管を進めつつ、店舗常駐の社員数を段階的に減らし、2023年10月、北千住西口店は店長以外の全員がメイトで構成される体制となった。

ドンキでも初の試みだっただけに、「不安もあった」と本巣氏。メイトには幼い子どもを持つ母親も多く、長時間残業や時間・曜日の不規則な勤務が難しい人も多い。オペレーションや人材配置が乱れてしまえば、売り上げに与える影響は大きい。

しかし、そうした心配は今のところ杞憂に終わっている。すべてのカテゴリーで売り上げが前期実績だけでなく計画値からも上ブレ。特に効果の大きかった食品では、前期より3~4割も売り上げが伸びている。

「『メイトだから』という理由で埋もれてしまっている才能が多かった」(本巣氏)。責任が増える分、処遇も上げており、「MDプランナーになったメイトの中には、時給が一気に250円上がった人もいる」(同)。そのため店舗の人件費の額自体は旧体制とさほど変わらないものの、増収効果によって経費率は大きく改善されたという。

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