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今も要注意「熱中症に扇風機が危険」という"衝撃" 高齢者こそ積極的に「クーラー」を使うべき理由

東洋経済オンライン / 2024年6月27日 11時20分

体温の上昇とともに心筋の酸素の需要は高まるが、冠動脈の機能が低下しているため、十分な量を供給できないのだろう。いずれも無症状だったが、心筋虚血は心不全や不整脈などによる突然死のリスクを高める。このような高齢者への暑さ対策は重要だ。

『アメリカ内科学会誌』は内科の専門誌で、高血圧や糖尿病などの内科系の病気の臨床研究を掲載している。ところが、今回の研究テーマは暑熱に対する冠動脈の反応で、内科よりも生理学の実験に近い。

『アメリカ内科学会誌』の編集部が、会員である内科医にとって重要なテーマと考えたからこそ、これから暑さ対策が重要になるこの時期に、論文を掲載したのだ。

話を熱中症予防に戻そう。

まずやるべきは、猛暑の日中の屋外作業を避けることだ。この点については議論の余地がないだろう。

暑さの回避以外に、アメリカ家庭医学会(AAFP)が推奨する熱中症対策は、「十分な水分を摂ること」と、「熱がこもりにくい、ゆったりとした軽い服を着用すること」、そして「運動レベルの監視」だ。

前者の2つはいうまでもないだろう。

日本医師会は、熱中症を予防するため、1日2リットルの水分を補給することを推奨している。

カフェインを含まないものが望ましく、発汗が多い際には塩分の補充も重要だ。厚労省は、労作時(体を動かしているとき)には、0.1~0.2%の食塩水、あるいはスポーツドリンクを20~30分ごとにコップ1杯飲むように勧めている。

衣服については、吸水性と通気性が大切だ。綿・麻・ポリエステルなどの素材が好ましいとされている。詳しくは、衣料品店のスタッフにお聞きいただきたい。

3つめは、あまり聞き慣れないだろうが、夏場の暑い盛りに運動するのなら、少なくとも3~4日間は環境に慣れるように準備し、ゆっくりと負荷を増やすべきという意味だ。

運動部の夏合宿などで、最初からハードな練習をした場合に、熱中症に陥りやすい。指導者は、この可能性を認識すべきである。

高齢者は「暑さ」を感じにくい?

このような対策に加えて、日本の夏に必須なのはクーラーの使用だ。設定温度は個人差があるだろうが、28℃以下が望ましい。

ところが、高齢者の中には、クーラーを嫌う人が少なくない。

やや古いが、みずほ情報総研が2014年に実施した東京電力管内に住むおよそ960人を対象とした調査によると、エアコンを使わない人の割合は20代が18%、30~50代が30%前後であるのに対し、60代で35%、70代では39%だった。

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