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佐賀に新大学は必要?「県内進学率16%」の危機感 地元で賛否、少子化や定員割れでも大学作る意義

東洋経済オンライン / 2024年6月28日 8時10分

さらに小松市長は、地域産業の活性化にも期待を寄せる。「新大学では、国際的視野を持った“地域人材”の育成を目指している。卒業生が地元に就職することで、地域産業の活性化も期待できる。大学進学で県外に出ていく子どもや、学びたくても経済的理由で進学を断念する子どもに対して、教育の機会をしっかりと用意することができる」と強調する。

日本初の韓国エンタメ専攻コース

武雄アジア大学では東アジア地域共創学部を設置し、「韓国・メディアコンテンツ」「観光力・地域マネジメント」の2つのコースを設ける方針だ。

日本初となる韓国エンターテインメント・K-POPカルチャーを専攻するコースでは、エンタメを国の主力産業まで高めた韓国の取り組みを、日韓の比較も含めて学問的に学ぶ。

そして佐賀では初となる、地域経営のリーダーを育てることを目的にした観光力・地域マネジメントのコースも設置する。「佐賀や九州にあるものを、アジアに向けて高付加価値化して流通できる人材や、インバウンドでアジアから人々を引き込む人材を育てたい。県内はもちろん、県外からも学生が集まる魅力あるコンテンツを具体化していきたい」(今村氏)。

大学の地域貢献について今村氏は「地元への就職以前に、飲食店に行くと『アルバイトをしてくれる学生を待っていますよ』とよく声をかけられる」と笑う。そして「武雄アジア大学は座学中心の大学ではなく、地域に貢献し協働する大学。学生が地域に行き、東アジアにも出向き、各地の問題解決を一緒に考える。本当にアクティブな人間力を育成する大学にしたい」と語る。

とはいえ県民の目は依然厳しく「大学だったら長崎や福岡に行けば十分じゃないか」という声は根強い。全国の大学の過半数、短大は9割が定員割れの状態だ。今村氏は「この実態は個別大学の努力限界を超えていないだろうか? 大学に原因を求め、経営に欠陥があるみたいな決めつけ方はいかがなものか」と問題視する。

地方大学が淘汰されて起きること

定員割れだと「誰でも入れる大学」「Fラン(入学者の基礎学力が十分ではない偏差値の低い大学を称する)」などと揶揄する声もある。今村氏は、経営努力や教育改革が必須であることを前提にしつつ「本当に人口減少、少子化だからといって、地方の大学は淘汰されて消えてなくなってもいいのだろうか」と語る。

今村氏が学長を務める佐賀女子短期大学では、就職率が100%、うち地元就職率が79%となっている。卒業生の進路は、介護福祉士や保育士、幼稚園教諭、養護教諭、小学校教員のほか、企業に就職する学生もいる。介護福祉士の大半は、留学生となっている。

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