ワークマン「8800円ランドセル」に込められた狙い 高額化で過熱する「ラン活」市場に一石を投じる
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 8時0分
「防弾チョッキにも使用されるほど高い強度と耐摩耗性がある生地です。当社の大人用ビジネスバッグや工具袋にも使う素材なので、気兼ねなく毎日の通学で使えます。また身体の成長に合わせてショルダーストラップの長さを調整することができます」(松重氏)
本体の重さは約1.5キログラムで、多くはアルミの重量だという。
「背面部分にアルミ製の細いプレート“アルミステー”が入っています。当社の登山用リュックでも使うプレートで、中に入る荷物が重くなってもリュックの剛性が保たれ、背中全体で重さを軽減するため、お子さんの身体への負担がかかりにくい構造です」(同)
反射材や防水カバーもつけた
梅雨や急な雨で気になるのが水濡れだが、防水カバーもあり、安全性にも配慮した。
「アウトドアのリュックでも用いる防水カバーを今回の商品にも搭載し、なくさないよう紐づけしました。また本体の4方向に反射材をつけており、視界が悪い時間帯や雨の日でも車のライトなどに反射します。防水カバーにも反射プリントが施されています」(同)
このほか、学校から1人1台配られるタブレットを収納するタブレットポケットもある。現在使われるタブレット端末(11~12インチが主流)を想定して収納できるサイズだ。
ただし、各家庭で用意するタブレットの保護カバー次第では、うまく収納できない場合もあるようなので、この点は注意されたい。
競合品との比較でいえば、ワークマンのランドセルは低価格だが業界最安値ではない。重量も前述したように特に軽いわけではない。それでもさまざまな開発視点で「高機能と低価格」を訴求したのは興味深い。
保護者の思いは、快適性や安全・安心
ランドセルを購入する保護者の観点からだと、実際に使う子どもの快適性や安全・安心から、本革製を選ぶ家庭も多い。基本的には6年間使い続けるので「少し値が張っても良い品を」という意識も働くようだ。
ランドセルは時に身体保護の役割も担う。例えば低学年の児童が、何かの際に後ろ向きに倒れても、背負ったランドセルが護ってくれたりもするのだ。メーカーが搭載する反射材も交通安全に対する配慮だろう。
平均価格が上昇しているのは事実だが、現在は少子化の影響で、子ども用の消費財は「6ポケット(財布が6つある)」とも聞く。父親・母親と双方の祖父・祖母という意味だ。祖父母が孫に贈る場合だけでなく、みんなで資金を出して買う場合もあるだろう。
一方で、ひとり親で子育てをする家庭など、ランドセル価格の上昇に苦慮する世帯もあると聞く。その対応策として「ランドセルの再活用」に乗り出す自治体も出てきた。筆者も各家庭から使わなくなったランドセルを集めて、申し込みのあった家庭に使ってもらう事例(鳥取県の例)を紹介したこともある。
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