1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

池袋西武とヨドバシ「売り場折半」の波紋と懐事情 北側にヨドバシ出店、西武の集客力に影響は?

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 10時30分

また、池袋西武の改装案は「基本的にそごう・西武が主体となって決めたもの」(前出と別の関係者)というが、ヨドバシHDが展開するスポーツ小売りの「石井スポーツ」との兼ね合いもあり、池袋西武8階で展開していた「西武スポーツ」も5月末で閉店している。

「百貨店半減」で従業員はどうなる

百貨店の改編で懸念されるのが、雇用の問題だ。正社員は前の親会社であるセブン&アイHDが今年の春から出向を受け入れているほか、現在の親会社であるフォートレスへの出向も検討されているもよう。また、池袋西武との店舗契約社員のうち、8月末までに退職の判断をした人を対象に「転身支援金」を支給することも明らかになった。

ラグジュアリー、コスメ、デパ地下のように重点展開する売り場がある一方、当然ながら縮小する売り場もある。筆頭が衣料品だ。現在は婦人服を主に3・4階、紳士服を5階で展開しているが、改装後は7・8階に雑貨、催事場、アートサロンが置かれ、その中にファッションも集約される。

関係者は「衣料品のナショナルブランドは、そごう・西武の(地方などの)標準店で重要な役割を果たしている。池袋から撤退を迫られれば、地方からも撤退するブランドが増えるのではないか」と影響を危惧する。

また、ブランドから売上高に対するマージンを得るビジネスモデルの百貨店として、一般的にマージンの売上高比率が高い衣料品が縮小することは、収益構造に対する影響も大きい。

関係者によると、そごう・西武が出店ブランドから得ている(対売上高の)手数料率より、ヨドバシHDがそごう・西武に対して求める家賃料率のほうが高い状態になっているという。

その差額分がそごう・西武の持ち出しとなれば収支は悪化する。マージンの売上高比率が低いと言われるラグジュアリーブランドが増え、利率の高い衣料品が縮小すれば、百貨店の利益率が低下することは免れない。売上高拡大が改装後の重要課題となる。

池袋西武は「外商」が強みだったが

改装計画のリリースには、「そごう・西武の強みでもある、お得意様向けの外商機能も今後さらに強化して参ります」と外商の維持についても言及がある。ただ「取扱商品の偏りは、池袋西武の外商にも影響を及ぼすのではないか」と懸念する声も聞こえてくる。

もともと池袋西武は、外商と呼ばれる上得意客向けの販売に強みを持っていた。外商は基本的に百貨店の店舗で販売する商品を紹介することが多いが、展開商品の偏りは販売力にも影響する。人材面でも、最近は池袋西武の外商員が他の百貨店に移ったり、引き抜かれたりしているという。

もっとも雇用や営業面についての懸念は、フォートレスへの株式譲渡前から、そごう・西武の労働組合などが問題提起してきた。「出向を受け入れるといっても、百貨店業務から仕事の内容や質は大きく変わる。同じ額面の給料を渡せばいいという話ではなく、会社は労働へのデリカシーを持たなければならない」(そごう・西武関係者)。

足元の百貨店業界はインバウンドを中心に、高額品などの販売が好調そのものだ。そごう・西武の「新しい百貨店」もその流れに乗ることができるか、来年のリニューアルオープンが注目される。

山﨑 理子:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください