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「クレカタッチ」は交通系ICカードを駆逐するのか 熊本で「全国相互利用」離脱、一方で逆の動きも

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 7時30分

今後もキャッシュレス決済の軸は地元のICカードで、クレカタッチ決済はそれを補完する役割という形になる。

市電はカードそのものが消える?

一方、2026年春をメドに全国交通系ICカードの取り扱いをやめる方針を示している熊本市電(熊本市交通局)の場合はやや事情が異なる。市電のICカード「でんでんnimoca(ニモカ)」は、スイカなどと同様に全国で相互利用できるカード、つまり全国交通系ICカードだ。取り扱いの終了は、現行のカードそのものの廃止を意味する。

市交通局が全国交通系ICカードから離脱する狙いは、システム更新費用の面もあるが「バス事業者(前記の5社)と共通の形にする」(担当者)という点だ。更新費用は全国交通IC対応のままだと約2億円、新システムに変えると約1億1000万円という。

市電の運賃支払いは全国交通系ICカードやくまモンのICカードのほか、2023年からクレカタッチ決済やQRコード決済にも対応しているが、市交通局によると利用の割合が高いのは全国交通系ICカードで、全体の約半数を占める。

定期券としても使えるでんでんニモカの利用に限らず、実は「スイカの利用が多い」と市交通局の担当者は話す。他地域からの来訪者だけでなく、地元在住でもスマートフォンアプリのモバイルスイカを使っている人が多いようだという。

これに対し、市交通局のアンケート結果(2023年度)によると、タッチ決算を使ったことがある人は回答者の約19%、QRコード決済は約10%に留まる。利用したことがない人の理由は「交通系ICカードのほうが便利」が最多だ。

利用者の多い全国交通系ICカードの廃止には反対の声も上がっており、市交通局の担当者は「(廃止の)方向性は示したが決定ではなく、市民の意見などを踏まえ議論して判断する」と話す。

広島はカードからQRコードへ

更新費用の面から、ICカードを新システムに切り替える動きはほかにもある。2008年から広島県内の鉄道・バス各社で利用できた交通系ICカード「PASPY(パスピー)」は2025年春でサービスを終了し姿を消す。パスピーは地域限定のICカードだが、同カードのエリア内では全国交通系ICカードが利用可能な仕組みだ。

パスピー終了の流れをつくったのは、広島市を中心に路面電車やバスを運行する広島電鉄(広電)だ。同社と日本電気(NEC)、レシップの3社はスマートフォンの画面に表示したQRコードを利用する乗車システム「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」を開発、広電とグループ会社の計4社で9月(一部は先行して7月)から導入する。

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