あおぞら銀の総会が物語る「高配当」の減配リスク 崩れた「安定性向」、株主が次々と発した非難の声
東洋経済オンライン / 2024年7月1日 8時20分
「御社の株を(周囲に)すごく勧めた。配当性向は50%だし、年4回も配当がある。定期預金や訳のわからないファンドをやるくらいなら、あおぞら銀行の株を買ったほうがいいぞ、と」
ある株主は憤懣やるかたない様子で切り出した。6月25日、都内で開かれたあおぞら銀行の株主総会。アメリカ不動産向け融資の引き当てなどが原因で、2024年3月期決算が15年ぶりの最終赤字に沈む中、会場にはどんよりとした雰囲気が漂っていた。
株主から厳しい声が上がったのは、赤字決算によって下期の配当が「0円」になったことだ。高配当を個人投資家に訴求する戦略の「減配リスク」があらわになった。
「新NISA」にも波及
「減配となったことを、改めてお詫び申し上げる」。4月に就任した大見秀人社長は頭を下げた。
冒頭の発言通り、あおぞら銀行の特色は四半期配当にある。配当性向も高く、インカムゲインを享受したい個人投資家からの支持が厚かった。
会社側は当初、2024年3月期の配当予想を第1四半期から第3四半期までは38円、第4四半期は40円の計154円と計画していた。だが、1月末に赤字決算の見通しを発表すると、第3、第4四半期の配当を「0円」に引き下げた。会社側は上期の配当実績をもって「減配」と表現する一方、株主は「無配だ」と非難した。
あおぞら銀行は公的資金完済後の2016年3月期から、最低でも配当性向約50%を貫いてきた。業績が悪化した2023年3月期は配当額を過去と同水準に維持した結果、配当性向は200%を超えた。
2024年3月期においても、昨年11月の決算発表時には「約束した配当は支払う方針に変わりはない」と、安定配当を貫く姿勢を鮮明にしていた。下方修正と「配当0円」を表明したのは、その3カ月後だった。
3月末時点でのあおぞら銀行の自己資本比率(普通株式等Tier1比率)は7.1%と、マーケットが十分性の目安とする8%を割った。財務の健全性を考えれば、第3、第4四半期の配当約90億円を支払う余力は残っていなかった。
批判の矛先は下方修正の発表時期にも向けられた。別の株主は「権利確定後に無配になるのは完全に予想外」と指摘。第3四半期配当の権利確定日は昨年末だ。下方修正を発表した1月末は配当が支払われる直前の時期に当たり、株主の衝撃は大きかった。総会では「役員報酬をカットして、配当に充てるべきだ」という声まで上がった。
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