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3年ぶりに復活した「黒字化目標」が意味するもの 増税ナシで債務残高比を下げる道もあるにはある

東洋経済オンライン / 2024年7月2日 9時0分

「骨太方針2024」では、「緊急経済対策の執行による振れを伴いつつも、中長期の経済財政に関する試算で示された成長実現ケースの下、歳出改革努力の継続を前提として、2025年度の黒字化が視野に入る状況にある」という認識も合わせて示しており、達成を目指すからには、歳出改革努力を継続することは必須である。

加えて、2026年度以降の財政運営についても暗に示唆する記述もある。

「その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させる」

ここでの「その取組」は、「2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す」ことである。「進捗・成果を後戻りさせることなく」ということは、PBがいったん黒字になったからといって、再び赤字に戻ってしまって黒字には戻らない、とならないようにする、ということが示唆される。

確かに、「債務残高対GDP比の安定的な引下げ」が究極的な財政健全化の目標である。これ自体を破棄すれば、日本政府は国債をまともに返済しようとする気がないということを、世界に高らかに宣言するも同然である。

ただ、「債務残高対GDP比の安定的な引下げ」をどう実現するかが、今後の論議の的となろう。この比率の分母であるGDPを大きく増やせば、債務残高対GDP比は低下しうる。

しかし、人口が高齢化して減少する中で、1人当たりGDPではなく、GDPそのものを大きく増やすには、付加価値向上のために相当な努力が必要となる。そうした今後の日本経済において、「債務残高対GDP比の安定的な引き下げ」を実現するには、GDPを着実に増やすための官民挙げた努力はもちろんだが、債務残高そのものをできるだけ増やさないようにする努力もなされなければならない。

債務残高そのものをできるだけ増やさないようにするということは、基礎的財政収支の黒字を長年にわたり維持することに他ならない。これが、「進捗・成果を後戻りさせることなく」という文言が暗示する財政運営である。

「増税は不可避」とは限らない

では、基礎的財政収支の黒字を長年にわたり維持するには、増税が不可避なのだろうか。

21世紀に入ってから基礎的財政収支は一度も黒字になったことがないわが国において、基礎的財政収支の黒字を長年にわたり維持するなどといえば、増税なしには実現できるはずがない、という先入観はあるだろう。

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