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DMG森精機のロシア子会社「強制収用」までの顛末 「戦争支援企業」を全否定、工作機械18台はどこへ

東洋経済オンライン / 2024年7月3日 8時50分

DMG森精機の海外売上高比率は80%超。5軸・複合加工機などの超高性能機や自動化を得意とする(撮影:梅谷秀司)

「ロシアの製造子会社ですね。2年ほど、ウクライナの侵攻が始まってから(操業を)止めていたわけですけども、(プーチン氏による)大統領令が出てですね、正式に差し押さえられました」

【写真】1999年からDMG森精機を率いる森雅彦社長

世界最大級の工作機械メーカー、DMG森精機の森雅彦社長は、4月26日の決算説明で淡々とこう報告した。

DMG森精機の子会社だった「Ulyanovsk Machine Tools ooo」は2月19日付で、ロシア政府に株式を強制収用された。これを受けてDMG森精機は同社を連結対象から除外し、約148億円の損失を計上した。加入していた海外投資保険への求償で相殺できる見込みという。

在庫の工作機械はどうなった?

ここで気になるのは、現地で管理していた工作機械の所在だ。DMG森精機は昨年9月、ロシアの軍事産業へ製品を供給したとして、ウクライナ政府からドイツ子会社を「戦争支援企業」と認定された。DMG森精機は全面否定し、2本の声明文を発表した。

その中でロシア国外で製造され、ウクライナへの侵攻開始より前にロシア国内に持ち込まれた在庫機18台を現地法人が安全に保管していると釈明。これらの機種のグレードは不明だが、工作機械はものによっては、核兵器開発などの軍事向けに転用されるリスクがある。

DMG森精機はロシアのウリヤノフスクに製造工場、モスクワに販売・サービスの拠点を有していた。そのうち前者への支配権を失った今、封印されたはずの機械たちはどこにあるのだろうか。

東洋経済は5月13日にロシアで管理していた18台の性能や、ロシア政府による子会社収用後の所在を尋ねた質問状をDMG森精機へ送付した。同時に盛り込んだ決算内容に関する質問に対しては、5月21日付で文書による回答が届いた。

ただ、ロシアに関連する部分については一切の言及がなかった。回答する意思はないのかと5月24日に改めて広報担当者へメールで尋ねたが返信はなかった。

ロシア軍が2022年2月24日にウクライナへ攻め入った後、DMG森精機は3月3日付で「ロシア事業の影響について」と題する文書を公表した。2021年度にロシアで販売した工作機械の約60%が現地生産、残りは日本や欧州からの輸入品だったという。

さらに「20台強のロシアのお客さま向けの受注残を抱えているが、その出荷を停止した。ウリヤノフスクの組立工場での生産も中止した」と明言。5月には現地の従業員約270人を解雇し、ロシアから事実上撤退した。

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