59万円アップル「Vision Pro」を4カ月使ってみた 本当にiPhoneやiPodのように普及するのか?
東洋経済オンライン / 2024年7月4日 12時0分
例えばABEMAやdアニメストアといったアプリが、そのまま利用できるようになり、身近なストリーミングアプリが楽しめる。あり得ないサイズの画面を目の前に広げた映像視聴は、Vision Proのエンターテインメントの醍醐味の一つに数えられる。
また、意外に思われるかもしれないが、電子書籍や新聞などの文字情報のコンテンツもまた、相性が良い。デバイスを手で持たず、また首を下に向ける姿勢をとらなくて済むため、長時間の読書がより楽になる。
加えて、日本で発売されるにあたり、アメリカで2月に購入したハードウェアについても、日本国内で電波を発するデバイスを利用する際に求められる「技術基準適合証明」、いわゆる技適マークも追加された。アメリカで発売されたものと同じデバイスが、日本をはじめとする各国で販売されていることがわかる。
Vision Pro発売に際し、日本国内に展開しているアップル直営店では、Vision Proの体験セッションの予約を受け付け、約30分試すことができる機会を用意している。
この体験のために、アップルは世界共通で、ストアのスタッフと体験者が座ることができるソファなどの什器を導入。長期的に、Vision Proを体験していく人を増やしていく戦略だ。
アップルとしても、いきなりVision Proが飛ぶように売れるとは考えていないようで、iPodやiPhoneを発売した時と同じように、まずは店頭で試して体験してもらうことに注力を置いているのではないか、と考えられる。
Vision Proの立ち上げは、近年のアップルにとっては、決定的に異なる部分が存在していた。
発売当初の評判がそこまで良いわけではなく(主に価格の問題)、爆発的ヒットとなっていない点はiPhoneの初期と同様かもしれない。しかし市場環境が異なる。
iPhoneは、携帯電話という当時年間約10億台が販売されていた市場への参入であったし、iPadはパーソナルコンピュータという巨大市場への提案だった。さらにさかのぼって、iPodはソニーが1980年代から脈々とウォークマンで作り上げてきた音楽プレイヤー市場への新規参入だった。
ではVision Proはどうだろう。
マーク・ザッカーバーグ率いるメタは、フェイスブックやインスタグラムのような、ウェブやモバイルのSNSの「次」として、仮想空間での人同士のコミュニケーションをビジネスにしていこうとしている。
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