ステランティスが「中国車」を欧州で生産する事情 欧州委の追加関税で、零跑汽車との計画を変更
東洋経済オンライン / 2024年7月8日 19時0分
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が中国製EV(電気自動車)に対して高率の追加関税を課すと(6月12日に)発表したのを受け、中国の自動車メーカーはEVの生産・輸出体制の見直しを迫られている。
そんな中、ヨーロッパ自動車大手ステランティスの異例の決断が注目を集めている。資本提携先の中国のEVメーカー、零跑汽車(リープモーター)の一部モデルを「ヨーロッパのステランティスの工場で生産する」と、カルロス・タバレスCEO(最高経営責任者)が表明したのだ。
タバレス氏の発言は、ステランティスが6月13日に開催した投資家向けイベントで飛び出した。同社は2023年10月、約15億ユーロ(約2528億円)を投じて零跑汽車の株式の約20%を取得している。
9月から輸入予定だったが…
さらに2024年5月、ステランティスは零跑汽車の(中国市場以外の)海外業務を手掛ける合弁会社「零跑国際(リープモーター・インターナショナル)」を設立し、51%を出資。零跑汽車が中国で生産する2車種のEVを、2024年9月からヨーロッパの9カ国で輸入販売すると発表していた。
しかし欧州委の追加関税の決定を受け、タバレスCEOは計画を直ちに見直した格好だ。なお、ステランティスがヨーロッパのどの工場で、零跑汽車のどのモデルを生産するのかは、現時点では明かされていない。
いずれにしても、これはヨーロッパの自動車大手が中国以外の自社工場で中国ブランドのクルマを生産する、初めてのケースになりそうだ。
(訳注:複数の報道によれば、ステランティスはポーランドの工場で、零跑汽車のコンパクトEV「T03」を生産するとみられる)
欧州委員会は、中国製のEVが不当な補助金の恩恵を受け、ヨーロッパでの販売価格を人為的に低く抑えているとして、2023年10月から調査を継続している。
その一環として、欧州委は3社の中国メーカーを対象にしたサンプル調査を行い、国有自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)に38.1%、民営自動車大手の吉利控股集団(ジーリー)に20%、中国のEV最大手の比亜迪(BYD)に17.4%の追加関税を課す暫定措置を決めた。
それだけではない。欧州委は上述の3社以外の中国製EVにも追加関税を課すとしており、税率は調査に自発的に協力しているメーカーが21%、協力していないメーカーが38.1%となっている。
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