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ワンピース作者「尾田栄一郎」 業界にとどろく伝説 "睡眠をしすぎるとバカになりますから"

東洋経済オンライン / 2024年7月9日 8時20分

『ワンピース』劇場版にも総合プロデューサーとして参画(画像:『ONE PIECE』公式サイトから転載)

世界的ブームが続く日本のアニメ・エンタメ。3兆円経済圏の頂点に君臨するのが、漫画原作を供給し、IP(知的財産)の創出源となる大手総合出版社だ。

『週刊東洋経済』7月13日号の特集は「集英社、講談社、小学館の野望」。彼らは今、何を考えているのか。非上場会社ゆえに謎の多いそのビジネスの奥の院を解剖する。

『週刊少年ジャンプ』に連載中の海洋冒険漫画『ワンピース』。同誌の看板を背負うその漫画の作者、尾田栄一郎氏は、驚異的な活動力でエンタメ業界に数多くの逸話を残してきた。

「鳥山明(『ドラゴンボール』作者)はイラストレーター、井上雄彦(『スラムダンク』作者)は画家、尾田栄一郎(『ワンピース』作者)はプロデューサー」

あるエンタメ関係者はジャンプを代表する漫画家3氏をこのように評する。

尾田氏が“プロデューサー”たるゆえんは、メディアミックス作品に、漫画家としての立場を超えた幅広いアイデアを提案するためだ。

「開発側もついていくのが大変」

「ゲーム化作品では、尾田先生が主人公ルフィの新しい能力をゲームに盛り込むアップデートと、コミックスの最新刊発売のタイミングを合わせて話題性を高める、ゲーム用の新キャラを出す、といった提案をする。開発側もついていくのが大変だ」(ゲーム業界関係者)

2022年公開の劇場版アニメ『ONE PIECE FILM RED』では、尾田氏が総合プロデューサーとして企画段階から参画。映画のテーマを「歌」に据え、人気歌手Adoを前面に打ち出すキャスティングなど、豊富なアイデアを披露。200億円を超える興行収入を記録した。

活発な社交ぶりも知られる。3月に死去した鳥山明氏とは家族ぐるみの付き合いがあった。鳥山氏の生前に開催したホテルでの朝食会は、鳥山氏の家族に尾田氏の家族、それに田中真弓氏ら『ワンピース』の主演級声優も加わり、20人近くが一堂に会したという。

尾田氏自身は酒を飲まないが、自宅にバーのスペースがあり、エンタメ界のセレブを招く。音楽が好きで、GLAYのボーカルTERU氏やMr.Childrenのボーカル桜井和寿氏とも親交がある。

それでも偉ぶるところがない。「尾田先生を『先生』と言わないように」。ジャンプの新任の担当編集は、前任者からそう引き継ぎを受けるという。

編集者の指摘どおりに描き直し

こんな逸話もある。『ワンピース』の担当となったばかりの20代の編集者が、尾田氏から初めて原稿を見せられたときのこと。「なんでもいいから思ったこと言って」と言われた。それに対し、編集者は率直に「ルフィの顔が怖いです」と返した。その後1日、編集者は尾田氏と音信不通になり、肝を冷やしたというが、最終的には尾田氏は編集者の指摘どおりに描き直したという。

週刊連載にプロデューサー業、著名人との交流。常人の何倍もの活動を続けるため、削られるのが睡眠時間だ。

あるエンタメ関係者は「(尾田氏の睡眠時間は)1週間で10時間くらいではないか」と話す。それでいて睡眠不足が顔に表れないのだという。「睡眠をしすぎるとバカになりますから」。尾田氏自身、眠らないことについて周囲にそう語っている。

西澤 佑介:東洋経済 記者

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