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日産の中国工場が「中国ブランドEV」を受託生産 東風汽車系「嵐図」から。余剰生産能力を活用

東洋経済オンライン / 2024年7月10日 18時30分

嵐図汽車は販売拡大を背景に、東風グループ内で余剰生産能力を持つ東風日産を生産委託先に選んだ。写真は嵐図汽車の主力SUV「FREE」(同社ウェブサイトより)

日産自動車の中国合弁会社である東風日産(正式社名は東風汽車有限公司)が、中国ブランドのEV(電気自動車)の生産を請け負うことがわかった。その目的は、湖北省武漢市にある新鋭工場の稼働率低迷を補うことにある。

【写真】独自のハイブリッド技術「e-POWER」を紹介する東風日産のウェブサイト

東風日産が受託生産するのは、中国側合弁パートナーの国有自動車大手、東風汽車集団の子会社である嵐図汽車(ボヤー)の新型車だ。

中国工業情報化省が開示した新型車の認可リストに、嵐図汽車が発売予定の新型SUV「知音(ジーイン)」が追加され、その生産地点として武漢経済技術開発区にある東風日産の「雲峰工場」の住所が記されていた。

嵐図の販売は前年比倍増

財新記者の取材に応じた東風汽車集団の関係者は、上述の事実関係を認めた。また、嵐図汽車は6月18日、財新記者の取材に対して「新型車の生産準備にあたり、東風グループ内の既存工場の生産能力を有効活用する」と回答した。

東風汽車集団は2020年、EVおよびPHV(プラグインハイブリッド車)の専門ブランドとして嵐図を立ち上げ、翌年に独立企業として分社化した。嵐図汽車に対する東風汽車集団の出資比率は(外部資本の受け入れを経て)、現時点では78.9%だ。

嵐図汽車はこれまでにSUVの「FREE(フリー)」、高級ミニバンの「夢想家(ドリーマー)」、セダンの「追光(パッション)」の3車種を発売。2024年1月から5月までの総販売台数は前年同期の2倍強の約2万5000台に上り、4車種目の投入でさらなる上乗せを目指している。

東風日産の雲峰工場は、総額98億5000万元(約2139億円)を投じて2021年11月に竣工。年間30万台の生産能力を持ち、同じラインでエンジン車、HV(ハイブリッド車)、EVを混流生産できる。

雲峰工場では現在、日産ブランドのエンジン車の「エクストレイル」、そのHV版である「エクストレイル e-POWER」、EVの「アリア」などを生産している。しかしそれらの売れ行きが伸び悩み、生産ラインの稼働率が低迷していたため、嵐図汽車の受託生産を受け入れる余力があった。

日産の販売は5年で半減

中国市場における日産車の販売台数は、最盛期の2018年には156万台に達し、トヨタやホンダを抑えて日系メーカーのトップに立っていた。だが、中国市場の急速なEVシフトへの対応が遅れ、2022年から販売台数の急減に見舞われた。

2023年の販売台数は79万3000台と、前年比2割を超える落ち込みを記録。年間100万台の大台を割り込み、5年前のピークの半分に縮小してしまった。

日産車の販売は、2024年も楽観できない状況が続く。東風日産の1月から5月までの販売台数は28万2000台と、前年同期比6.3%増加した。しかしEVに限れば、同期間のアリアの販売台数はわずか1400台余りにとどまった。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月18日

財新 Biz&Tech

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