「子どもから信頼される親」がしている話の聞き方 能動的な聞き方ならば子どもは心を開きやすい
東洋経済オンライン / 2024年7月11日 16時0分
あるお母さんと中学3年生の子どもの会話をご紹介しましょう。塾帰りの車の中、14歳の次男・浩二くんとの会話です。お母さんは、浩二くんに対して、食が細く、好き嫌いが多い子だという印象を持っていました。
浩二くん 今日のごはん、何?
お母さん 鍋よ。
浩二くん えー、オレ、鍋嫌い!
お母さん 好き嫌いを言わないの。
浩二くん だって、鍋にしたら、面倒くさい。
お母さん 何が面倒くさいの? 食べるのが面倒くさいの?
浩二くん だって、食べたあと、オレが全部後片づけしないといけない。
お母さん 後片づけがイヤだと思っているのね。
浩二くん だってねー、塾から帰って疲れているのに、後片づけ全部しないといけないんだよ。
お母さん そうか。塾で疲れているから、後片づけがイヤなのね。
浩二くん そうだよ。それにねー、誰も手伝ってくれなかったんだよ。(前回、鍋をしたとき、浩二くんがひとりで後片づけをした)
お母さん ひとりで後片づけをするのがイヤだったのね。
はじめ、お母さんには、「また夕食についての好き嫌いを言っている」という先入観のようなものがあったのでしょう。浩二くんが「えー、オレ鍋、嫌い!」と言ったとき、「好き嫌いを言わないの」と言っています。
浩二くんは続けて、「だって、鍋にしたら、面倒くさい」と言いました。さらに「食べたあと、オレが全部後片づけしないといけない」とも言っています。このときお母さんは浩二くんの気持ちを受け止めて、「後片づけがイヤなのね」と確認しました。
その結果、「塾から帰って疲れているのに、後片づけ全部しないといけない」「(後片づけを)誰も手伝ってくれなかった」という浩二くんの心の中にある思いを聞くことができました。
お母さんには、浩二くんの思いを聞いたことで発見がありました。食べ物の好き嫌いを言っているのではなく、誰も手伝ってくれない中、ひとりでがんばって後片づけをしていたのだという事情がわかり、あたたかい気持ちになったのです。
「能動的な聞き方」で子どもの心を開く
親業では、「能動的な聞き方」という手法を使って子どもの話を聞いていきます。「いまは子どもの話を聞こう」と決め、意識的に子どもの言葉に耳を傾けるのです。すると、考えてもみなかったような展開に驚かされることがあります。
親が「あなたの話を聞こうとしているよ」「あなたの気持ちを理解しようとしているよ」という気持ちを言葉や態度で示すことによって、子どもが心を開き、自ら語り、自分で問題を解決するのを助けることができます。
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