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イラン大統領選で最高指導者が見せたサプライズ 改革派大統領を登場させた最高指導者の本音

東洋経済オンライン / 2024年7月11日 9時20分

2024年7月、イランの新しい大統領に選出されたペゼシュキアン氏(写真・EPA=時事)

2024年5月、アゼルバイジャンからヘリコプターで帰国する途中に墜落事故で亡くなったイランのライシ大統領の後継者を選ぶイラン大統領選が、イラン現地時間2024年7月5日に行われ、改革派のペゼシュキアン氏が当選した。

亡くなったライシ氏は反米保守強硬派で知られていた。イランの置かれた状況から、後継者はライシ氏の遺志を継ぐ者であると予想され、下馬評として上がっていた名前はいずれも強硬派に属する人間ばかりであった。

イランの国情から普通に考えると、イラン最高法学者権威であるハメネイ師にとっても、より好ましいのは強硬派だ。それなのに、なぜかハメネイ師は選挙に露骨に介入した。

これまで大統領候補者としてふさわしい人かどうかを事前に審査する「護憲評議会」と呼ばれる組織が、過去に不適格としたペゼシュキアン氏の立候補資格審査を通過させたのだ。

最高指導者ハメネイ師の投票用紙

イラン大統領選挙の決選投票日の7月5日午前8時、投票所に現われたハメネイ師は、投票用紙を受け取ると、前代未聞のとんでもない行動を取った。

この最高指導者は投票用紙を持って投票記載台に向かい、誰にも見えないように意中の候補者の名前を記入するかわりに、投票立会人、投票管理人、生放送の報道カメラが回る場で、自分の手元が映るように候補者の名前を書いた。

そこには、なんと! 改革派のペゼシュキアン氏の名前があったのである。「ペゼシュキアン」と書くハメネイ師の向こう側で、「えっ?! ハメネイ師は強硬派ではなく改革派を推している!!!」とでも言うかのように目を丸くする選挙立会人などのスタッフが驚く様子がイラン中に報道された。

これまでの選挙では、決選投票に持ち込まれると投票率は下がる傾向にあった。しかしSNS上では、このハメネイ師がペゼシュキアン氏を記入する動画で炎上したため、第1回選挙より多くの人が投票所へと向かった。その結果の、改革派・ペゼシュキアン氏当選なのだ。

これには伏線がある。6月27日の最初の大統領選挙で、強硬派は立候補者を1人に絞れなかった。対して、改革派はラスボス級の人々が「大統領選挙に出馬しない」と宣言し、ペゼシュキアン氏を応援した。

目立った強硬派の選挙戦略ミス

強硬派が立候補者を絞っていれば投票数は過半数を獲得し、決選投票まで持ち込まずに当選できたはず。明らかに戦略ミスであった。革命防衛隊出身のガリバフ国会議長、ジャリリ元最高安全保障委員会事務局長、プルモハンマディ元司法相の強硬派立候補者3名の票を合計すると約6割あった。

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