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川崎重工「裏金」で海自隊員へ金品供与の悪習 長年の癒着構造が追い風の"防衛バブル"に冷水

東洋経済オンライン / 2024年7月12日 7時30分

7月5日の記者会見で木原稔防衛相は「万が一にも国民の疑惑や不信を招くようなことがあってはならない。判明した事実関係に基づき厳正に対処する」と述べ、実態調査のための特別防衛監察の実施を決めた。

国の防衛予算が大幅に増額される中、近年、重工各社の防衛事業は勢いを増している。2023年度の防衛事業の受注額は、川崎重工が前年度比倍増の5530億円、三菱重工が同3.3倍の1.8兆円と急速に拡大した。

従来、防衛産業は利幅が薄く撤退する企業が相次いでいた。そのため国は2023年に防衛装備の企業側利益率を8%から最高15%まで大幅に引き上げる方針を新たに示したばかり。

川崎重工は現在、5%未満の防衛事業利益率を2027年度までに10%以上にする目標を掲げている。これが実現すれば年間500億〜700億円を稼ぐ主力事業となる見込みだ。

こうした期待と業績回復を追い風に、川崎重工の株価は事件が明らかになった7月3日に2015年以来の高値を突破していたが、翌4日は前日比7.3%安の5978円に反落した。防衛受注への影響などが懸念され、水を差された格好だ。

過去に指名停止処分も

川崎重工が防衛産業で問題を起こしたのはこれが初めてではない。2012年には新多用途ヘリコプター「UHーX」の開発をめぐる官製談合事件が発覚。2013年に防衛省から入札の指名停止処分を受けたことがある。

橋本康彦社長は「心からお詫びする。関与した人、流れ、背景についてはわかっていないことも多く、特別調査委員会を通してしっかりと解明したい」と陳謝のコメントを出している。

川崎重工側は、「修繕部の課長レベルまでが関わっていたことを確認している。役員は把握していなかった」と説明するが、組織的な関与があったのかどうか、そしてコンプライアンス体質を一新できるかどうかが焦点となる。2024年内に特別調査委員会による報告書をまとめて公表する予定だ。

川崎重工は防衛省との契約実績で、三菱重工に次ぎ長年2位を誇る防衛の中核企業だ。それだけに、不適切な実態は明らかにし、襟を正さねばならない。

秦 卓弥:東洋経済 記者

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