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相続した親の家「価値を高めてから」売る方法 「建物の価値はゼロ」と決めつけていませんか?

東洋経済オンライン / 2024年7月13日 17時0分

インスペクションは、対応している設計事務所などに申し込みます。そして、依頼者立ち会いのもとで検査を行います。

例えば、一戸建てであれば「基礎に鉄筋は配してあるか」「シロアリ被害はないか」「基礎工事の内容は」などをチェックしていきます。

インスペクションの結果、重大な欠陥が明らかになった場合は、リフォームをするのも一つの選択肢ですが、親の家であれば、「それならば、建物に価値を求めない」と判断するのもいいでしょう。数百万円かけてリフォームして販売するのは、リスクが高いからです。

②瑕疵保険

新築の物件は、ハウスメーカーや施工会社が10年間の瑕疵担保保証を付けることが義務化されています。また中古の建物でも、売り主が不動産仲介業者の場合、2年間の保証が付きます。

保険の内容は、もしその期間中に瑕疵(欠陥)が判明した場合、売り主が責任を負うことになるというものです。

しかしながら、中古住宅で売り主が個人の場合、この保険を付けるかどうかは、当事者間で決めることになります。現状では「瑕疵担保免責」(保証なし)が大半です。

親の家は、多くの場合、建築年数がかなり経過しています。保証なしでは、買い主は不安を覚えるものです。そこで活用したいのが「既存住宅売買瑕疵保険」です。この保険に加入すれば、販売後に瑕疵が見つかると、1000万円までの補修費用が最長5年間保証されます。

瑕疵保険に加入するには、専門の検査機関に検査をしてもらうことが必要です。補修すべき箇所があったら補修をする必要があります。

③住宅履歴情報

住宅履歴とは、住宅の設計、性能、施工、維持管理、メンテナンスに関する情報のこと。これらを明らかにしておけば、「いつ、誰が、どのように設計・施工したか」「どんな修繕、改修・リフォームを行ったか」など、住宅の素性を知ることができます。

住宅履歴は、クルマでいえば「車検証」や「整備記録」のようなものです。整備記録がなければ、中古のクルマは買わないですよね。しかしながら、クルマよりも高い住宅については、こうした履歴情報の告知が徹底されていないのです。

現状では「長期優良住宅」の認定を受けた住宅は、住宅履歴の保存が義務づけられていますが、それ以外は、なくてもOKなのです。

逆に言えば、住宅履歴情報があれば、中古物件の信頼度はグッとアップするわけです。

新築段階でいえば、戸建てなら、建築確認に関する書類、新築時の各種図面や書類、マンションなら、建築確認書類や図面、マンション管理組合の規約や長期修繕計画などになります。

そのほか、維持管理段階の情報(リフォームや改修をしたときの書類、図面など)もそろえます。

こうして集めた情報を、不動産会社などの住宅履歴情報サービス機関に渡して、データ化してもらいます。

自分のできる範囲内で価値を高める

ここで紹介した「インスペクション」「瑕疵保険」「住宅履歴情報」を全部利用しても、かかる費用は10~15万円程度です。

実際に、通常ならばゼロ査定とされる築20年の木造住宅に、800万円の価格を付けて売れた例があるそうです。200~300万円の値が付くことは、それほど珍しいことではありません。

ただし、親の家を売る場合は「住宅履歴情報」の収集は難しいかもしれません。

インスペクションと瑕疵保険の2つを利用するなど、自分ができる範囲内で、建物の価値を上げるようにすればいいと思います。

永峰 英太郎:フリーライター

高橋 正典:不動産コンサルタント

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