"不適切保育"から「子を守る」親にできること5つ 監視カメラを設置する保育施設もあるが…
東洋経済オンライン / 2024年7月14日 19時0分
見聞きした問題行為や問題と思う理由を具体的に説明する、子どもが苦痛を感じている事実を伝えるなど、冷静に交渉する必要がある。
「しつけです」と言われたり不誠実な対応しかない場合は、市区町村の担当課などに通報する。市区町村が頼りにならない場合は、都道府県の指導監査部門に連絡する。
保護者にもできることはある
④保護者同士のつながりも大切に
保護者同士のつながりもつくっておきたい。父母会などの組織がない場合も、クラスごとにSNSでつながるなどできるとよい。
保護者同士で情報交換ができれば、実際に起こっていることを客観的に把握することができるし、園に伝える際も複数の証言があれば伝わりやすい。何も問題がない場合も、園と信頼関係を結び保育に協力する応援団として機能させたい。
⑤保育の制度にも関心をもつ
ここまで見てきたように、「不適切保育」が発生したりエスカレートしたりする背景には、保育士に適格な人材が不足していたり、保育士の仕事の負担が重すぎたりする構造的な問題がある。
改善するためには、保育士の待遇改善や配置増が不可欠で、そういった保育制度の問題に保護者が関心をもち、声を出していくことも、不適切保育の防止に役立つ。
カメラ導入の是非
不適切保育防止のために保育室等にカメラを設置する保育施設もあるが、監視カメラのように使うことには賛否がある。カメラがとらえるのは部分的であり、出来事の一部だけが切り取られてしまう場合も多いからだ。
特に、保護者が施設内のライブ映像をいつでも見られるようにしていた保育施設では、カメラに映った一場面が誤解されるようなトラブルが相次ぎ、結局カメラを外したという話もあった。
たとえば、子ども同士のぶつかり合いも成長に必要な体験であること、この時期の子どもは一見わがままな自己主張を繰り返し試行錯誤しながら成長する存在であること、子どもの発達のペースは一人一人違ってよいことなどについて、保護者の側に理解がないと、無用な不安や不満、保護者同士のトラブルにつながってしまう場合もある。
子どものプライバシーの問題も考えなくてはならない。ただし、映像を公開するのではなく、ドライブレコーダーのように記録として撮っておき、検証が必要な場合のみ見返せるようにするのであれば、メリットがあるかもしれない。
子どもが園での遊びや仲間とのかかわりを通して育つことを保障するためには、保護者が保育者を信頼し、その見守りのもとで子どもが泣いたり笑ったりさまざまな体験をすることを、育ちの場のあり方として認めてくれることが必要になる。
保護者には、カメラで保育を監視しようとするのではなく、まずは保育者とコミュニケーションをとり信頼関係を深めることから始めることをお勧めしたい。
普光院 亜紀:「保育園を考える親の会」アドバイザー
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