セブン「大幅減益」で株価下落、北米事業に試練か 「結果を出してくれ」市場関係者から辛辣な声も
東洋経済オンライン / 2024年7月15日 8時40分
北米事業は第2四半期以降も苦戦が予想される。実は、収益の大半を占めるのはガソリンだ。前期は売上高の約75%、粗利益の44%を占めていた。そして、ガソリン販売は市況に大きく左右される。
ガソリン販売による利益(粗利益)は、「ガソリン販売量×1ガロン当たりの粗利額」で算出できる。
インフレの影響でガソリンも買い控えの対象となり、1~3月の販売量は微減となった。一方で、競合の価格設定やガソリン相場にも左右される「1ガロン当たりの粗利額」は前年同期を6%上回り、ガソリン販売による粗利額は前年同期を上回った。
しかし、第2四半期以降は一層の苦戦が予想される。前2023年度は4月以降、1ガロン当たりの粗利額が急激に高騰していた。今年の4月以降はその「裏年」にあたる。販売量は足元で回復傾向だが、それでも前期並み程度。通期ではガソリン販売による粗利額が減少する可能性は高い。
商品販売も引き続き懸念材料だ。SEIのスタン・レイノルズ社長は決算説明会で「ファーストクオーターとは別の施策をとる。メーカーからの値上げを、より価格に転嫁することで、売り上げと粗利率を伸ばす」と説明している。
現在、アメリカの小売りチェーンのトレンドは「値下げ」だ。大手のウォルマートやターゲットは直近で数千品目の値下げを発表しており、節約志向の消費者にアピールしている。コンビニと業態が異なるとはいえ、ほかの小売りチェーンが価格訴求を強める中、価格転嫁を進めることで「客離れ」につながる可能性も否定できない。
もっとも、セブン&アイHDは今期の為替レートの前提を1ドル=145円としている。足元のドル円相場はそれよりもかなり円安の水準だ。会社は通期で営業増益を見込む業績予想を維持しており、円ベースで善戦する可能性は残されている。
CFO「皆さんのお言葉、心に刻みました」
ガソリンの粗利も、為替も、市況に左右される状況に変わりはない。さらに、会社が成長戦略の柱と位置づける商品販売が計画通りに伸びていないことに対して、市場関係者はいら立ちを隠さない。
説明会に参加したアナリストからは冒頭のように「結果を出してほしい」という声が相次いだ。あるアナリストは「方向性はわかったが、国内も北米も結果をきちんと出してほしい。第2四半期、第3四半期と、それ(結果)がないとつらい」と指摘した。
市場関係者の「苦言」に対し、最高財務責任者(CFO)の丸山好道氏は「皆さんのお言葉、心に刻みましたので、それを胸に取り組みを進めていきたい」と語り、説明会を終えた。
コンビニ事業への集中を進めるセブン&アイHDの経営陣には、一層の覚悟と結果が求められている。
冨永 望:東洋経済 記者
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