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フォロワーや「いいね」の数が及ぼす危険な影響 数字の影響を受けやすいという人間の脳の弱点

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 14時0分

数年前から、学術論文が他の研究者によって引用された回数を見ることができるようになった。

その意図は立派なもので、どの論文が「洗練」されていて(とてもよい言い方だ)、継続的な研究にどれだけ重要な貢献をしたかを、研究者たちに伝える役割を果たしている。

またその数字は自らを強化する力ももっていて、大きければ大きいほど、より多くの研究者がその論文を選んで読む(そして引用する)から、さらに大きくなっていく。

論文の引用回数は、研究者が職につく際や昇進する際にも、その人の研究がどれだけ重要で強力かの指標として計算に入れられる。

ただし私の場合は、控えめに言っても、複雑な気持ちをぬぐえない。

私の論文で最も多く引用されているのは、広告にどんな見直しが必要かについて求めに応じて書いたもので、他の多くの研究者たちはそれがあまりにも極端な内容なので、自分の論文で反論しようと考えるのだと思う。

この論文の数字がそれほど大きい理由のひとつは、他の研究者たちがその内容に同意していないからなのだ!(ミカエル)

脳にある「数字ニューロン」

脳の頭頂間溝(IPS)には、数量を原始的な生き残り本能と結びつける数字ニューロンがあり、私たちを友好的な人に引きつける一方で、友好的でない人には近づかないようにと警告するから、自分が見ている動画を他の何人の人が見たかによって影響を受ける傾向があるのは、おそらくIPSのせいだ。

IPSはまた、私たちが他の人の意図をどう解釈するかも支配する。数字は他人の行動を「翻訳」して、賛成か反対かの総意に変えるので、私たちは賛成なら加わり、反対なら警戒することになる。

だが、他人の行動に意味は必要ない――この場合は、人々はただ投稿を目にしたというだけだ。おそらくとりわけ注意していなかったか、最後まで読まなかったか、どんな意見ももたなかったのだろう。反対の意見をもった可能性もある!

数字は人々にとって――まったく的外れな数字も含めて――重大な信号になる。ふつうは、2000人もの人と(たとえ20人でも)友達になるか逃げるかという、生死に関わる状況に陥りそうな人などいない。

アマゾン川流域で暮らす、5までしか数えられないムンドゥルクの人々と、1と2という数しか知らないピラハの人々が、数字なしでうまくやっているように、同時に最大5人について細かいことを把握していれば、おそらく十分だ。

そして今では、ひとりの人物がどれだけ「有名」かを、フォロワーの数、閲覧者や視聴者の数、その人がすることについた「いいね」の数で判断できるようになったが、そうした数字が大きくなるにつれて、そのセレブリティの発言がより重要だと思ってしまう危険がある。

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