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"裕福な高齢者"も「いつの間にかゴミ屋敷」の現実 「お金はあったのに…」防ぐには、どうする?

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時30分

現在、Cさんの妻は高齢者施設に入所し、清潔な環境で健康的な暮らしをしています。

Cさん夫婦が元気なうちに準備をして高齢者施設に入所していれば、ゴミ屋敷で暮らすこともなく、質の高い暮らしができたはずです。

また、Cさんが遺言書を残しておけば、面倒な手続きなしにスムーズな相続ができたはずです。

準備不足のまま高齢者になり、加齢が進んで心身ともに衰えていった結果、Cさんは人生の最後をゴミ屋敷で暮らすことになってしまったのです。

他にも、何も準備をしなかったDさん夫婦のケースがあります。

「何も準備しなかった」資産家・Dさん夫婦のケース

Dさん夫婦には子どもがいましたが、遠方住まいのため、日常的な交渉がありませんでした。

Dさん夫婦がほぼ同時に入院となり、財産管理ができなくなったと病院のソーシャルワーカーから私に相談があったのです。

私が財産状態を調べることになり、ご自宅の鍵を預かっていろいろな書類を引っ張り出してみました。

Dさん宅には終活や遺言に関するチラシや記事のスクラップが大量にあったのですが、実際には老後のための財産管理をしていた形跡はいっさいありませんでした。

つまり、情報収集だけで具体的な準備を何もしていなかったのです。

Dさんは資産家で、税理士事務所とのつきあいもあったそうなのですが、事前に相談することもなかったそうです。

遠方住まいの子どもたちは状況を把握していないので、私が身元保証人となり、不動産収入の確定申告や未払いの医療費の精算などを苦労して調べ上げ、ひとつひとつ解決していきました。

現在はDさんに遺言書をつくってもらい、何かあった時は私と息子さんが連携しながら対応することになっています。

高齢になり「介護や支援が必要になったら、誰に相談すればいいのかわからない」という不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

不安を感じたら、迷わず「地域包括支援センター」に相談

そんなときは、まず「地域包括支援センター」に相談しましょう。

地域包括支援センターは、全国各地に設置されており(おおむね中学校区域に1つ程度)、介護・医療・保健・福祉など、高齢者にとっての総合相談窓口となる機関、いわばよろず相談所のようなものです。

介護については社会福祉士、保健師、ケアマネージャーなどの専門家が相談にのってくれ、財産管理については、以前の記事(「認知症」で銀行口座凍結!やれば安心の準備は?)で解説した「代理人制度の利用」を支援したり、税理士、司法書士、行政書士などの専門家につないでくれたりします。

老後は誰にも訪れるものです。

Cさん夫婦、Dさん夫婦のようなケースは、決して他人事ではありません。
準備をしないまま認知機能が衰えてしまうと、さまざまな社会的手続きや福祉への連携などができなくなります。

とくに子どものいない人、子どもと疎遠になっている人は、具体的な困りごとにうまく対応できないことがあります。

今日はこれからの人生の中で一番若い日です。

老後準備、終活を前向きにとらえて、行動に移してもらいたいと思います。

松尾 拓也:行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家

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