1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「食品だらけ」のドラッグストア、その勝算と難点 大手同士の「国盗り合戦」は新たなステージへ

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時0分

北陸地盤のクスリのアオキは、スーパーマーケット顔負けの生鮮食品の品ぞろえが特徴だ(写真:クスリのアオキ)

目下、買収や合併による大再編が加速しているドラッグストア業界。競争が激化する中で、各社はどう生き残りを図っているのか。「食品強化型」で売り上げを伸ばす注目企業の動向や、業界全体の現在・未来についてQ&A形式で解説する。

※記事の内容は記者による解説動画「Q Five」からの抜粋です。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。

Q:ドラッグストア業界で再編が進む理由は?

2023年のドラッグストアチェーンの総売上高は9兆2022億円で、前年から5%拡大しました。今後も高齢化の中で、調剤やヘルスケア用品の需要が一段と高まっていくとみられます。都市部ではインバウンドの伸びを受け、医薬品や化粧品の販売も拡大しています。

【動画で見る】買収合戦が加速するドラッグストア業界の「勝ち組」はどこだ

とはいえ、人口減少下の日本において、ドラッグストアは増えすぎているのではないか?という点が業界の課題となっています。

過去20年間でドラッグストアの総店舗数は6割増えた一方、企業数は同じ期間でどんどん減っている。客の奪い合いが加速する中で、大手が地方の中小チェーンを飲み込んでいった経緯があります。

さらにここ数年は、大手同士のM&Aにフェーズが移ってきた印象です。例えば2024年2月、業界首位のウエルシアHD、2位のツルハHDが経営統合に向けた協議を開始し、大きな話題となりました。まさに巨大チェーン同士の”国盗り合戦”が加速しているというわけです。

Q:「食品強化型」のドラッグが増える理由は?

近年は食品カテゴリーの品ぞろえを強化し、近隣のスーパーマーケットから客を奪って成長するドラッグストアの姿が目立つようになりました。例えば、北陸地盤のクスリのアオキ。同社のチラシを見てみると、表面の大半は食品の特売情報で埋め尽くされています。

ドラッグストアは医薬品や化粧品で利益を確保できるため、食品の価格を下げて集客することができるのです。

直近では、肉や野菜といった生鮮食品にまで手を伸ばす企業が増えてきました。生鮮食品は温度管理が難しく、廃棄が大量に出てしまうリスクがあるため、ノウハウのないドラッグストアには扱いが難しいとされてきました。そこでクスリのアオキはここ数年、地場スーパーなど12回のM&Aを実施。これにより買収先のノウハウや流通網を吸収し、既存店にも続々と導入していったのです。

この戦略が当たり、クスリのアオキを訪れる客の数は伸長。売上高は右肩上がりに成長しています。

同じく北陸を地盤とするゲンキーは、精肉や総菜加工のための自前センターを構え、サンドイッチや寿司まで展開するという、特徴的な店舗づくりを行っています。

このように食品を軸に拡大を続けているドラッグストアですが、売り上げに占める食品の割合があまりに高くなりすぎると、医薬品やヘルスケア用品を取り扱う専門業態としてのイメージが崩れてしまうのではないか、という懸念も業界全体にくすぶっています。

今後も収益性や専門性を守りながら、いかに規模の拡大を続けられるか。その点が各社の命運を分けそうです。

伊藤 退助:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください