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「開成で落ちこぼれ」通信制に進学した彼の逆転劇 燃え尽き症候群で、先取り学習についていけず

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 18時0分

開成中学(写真: MARODG / PIXTA)

「最も偏差値が高い中高一貫校に進学させてしまったのが、この子の教育に対する最大の失敗でした」

【写真】推薦入試で、早稲田大学の合格をつかんだ。

これは43年連続で東大合格者数1位を誇る開成に息子が進学した、母親からの一言です。

オンライン学習指導塾のクラウドセンバツを運営する私の元には、「中学受験で成功した」といえるような中学に子どもが合格したにもかかわらず、入学したことを後悔する親からの相談が相次いでいます。

なぜそう思うようになってしまったのか。開成中学の笹岡君(仮名)の事例をみてみましょう。

入学後に燃え尽き症候群に…

笹岡君は、小学校3年生から某中学受験塾に週3で通い、母親の献身的なサポートを受けながら高い成績を維持しました。小5からは塾内でいちばん上のクラスに在籍し、模試でも好成績を収め、ずっと第1志望にしていた開成中学に入学。滑り止めにもすべて合格します。

我が子に中学受験をさせている親からすると、とても理想的な結果であると言えるでしょう。当然ながら塾代などのお金もかかります。笹岡君の家庭では教育投資として、小5、6年生の期間で550万ほどの費用がかかりました。

ところが笹岡君は開成中学校に入学した後、自由な校風が逆に合わず、緊張の糸が切れて“燃え尽き症候群”になってしまったことで、勉強時間が大幅に減ってしまったそうです。

「小学生の低学年からずっと勉強を続けていた反動で、もう机の前に座りたくない、と思うようになってしまいました。学校が終わってから寝るまでの時間を、オンラインゲームや動画を見て過ごしていました。中学受験を応援してくれていた、母親には申し訳ない、とずっと思っていました」と笹岡君は当時を振り返ります。

笹岡君は中学校2年生の段階で、校内順位が下位10%まで落ち込みました。周りから「できないヤツ」と思われていると感じた笹岡君。開成で生活することに耐えられなくなり、通信制の高校に進学しました。

超進学校は優秀層にとっては、どこまでも実力を伸ばせます。その一方で入学後の最初の段階でつまずいてしまった生徒にとっては、とても過酷な環境です。

先取り学習でついていけなくなる

例えば中高一貫校では、一般的には高校で習うような内容を中学の授業でも触れるなど、いわゆる「先取り学習」をしています。そのため、授業は信じられないような速度で進むのです。ついていけなくなったら最後、先生が話していることの意味がわからないという状態に陥ってしまいます。

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