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"算数"の勉強不足が「話ばかり長い人」を生む理由 「一言で言うと?」に固まるのは"抽象化力"不足

東洋経済オンライン / 2024年7月17日 10時30分

私のこの主張に対する、よくあるビジネスパーソンの反論は次のとおりです。

「一言で言えるような簡単なものじゃないんです」

もしプライベートであればそれでも良いと思います。生きる意味を問われても、なかなか一言で答えることは難しいかもしれません。大切なパートナーの魅力を尋ねられても、なかなか一言で答えるのは難しいかもしれません。

しかしビジネスシーンにおいてはあまり素敵なことだとは思いません。要領を得ず冗長な話ばかりする人や、物事の本質を捉えることが苦手な人に憧れるビジネスパーソンはおそらくいないからです。

「一言で言えない人」に足りないもの

では一言で言えない人には何が足りないのか。私の答えは、共通点を抽出する思考法です。

たとえば沖縄県に拠点を構えるある会社について考えてみます。この会社は飲食店を経営しており、さらに不動産業や高齢者の介護サポートなど、さまざまな事業を展開しているとします(この例は思考法の解説を目的にしているためにあえて極端な設定にしており、また沖縄県であることに特別な理由はありません)。

この会社のしていることは、一言で言うと何でしょう。このような問いを前にしたとき、多数の人は「一言では言えない」と考えてしまいます。

たしかに、この会社の事業は飲食店の経営、不動産業や高齢者の介護サポートなど、多岐にわたります。一言で言うのは難しいと主張してしまうことも理解できます。一方で、このような問いを前にしたときにあっさりと一言で表現できる人もいます。

なぜそれが可能かというと、飲食店、不動産業、高齢者の介護サポートの共通点を抽出しようとするからです。

沖縄で飲食店

沖縄で不動産業

沖縄で高齢者の介護サポート



共通点は沖縄



すべて沖縄の住民を豊かにしている活動

このような思考の結果、一言で言うと、「沖縄の住民を豊かにすること」と言語化できます。

これはあくまで一例ですが、一言で言える人とそうでない人の違いを端的に表している例と言えるのではないでしょうか。つまり、一言で言うことに慣れていない人は、共通点を抽出する思考法に慣れていないということになります。

抽出という言葉の「抽」という漢字に着目してみましょう。この漢字は、「抽象化」という言葉にも用いられます。共通点を抽出する思考法には、この「抽象化」が必要不可欠です。

じつは、抽象化をもっとも体験できるのが算数や数学の授業です。たとえば「3個のリンゴ」と「3個のバナナ」では、何が同じで何が違うでしょうか。もちろん個数が同じで、果物の種類が違います。個数は数であり、算数や数学の言語になります。果物の種類は算数や数学の言語には(おそらく)なりません。そしてリンゴとバナナの共通点は果物です。

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