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中国製自動車を「イタリア製」と誤認させて罰金 イタリア当局がDR社に10億円超の支払い命令

東洋経済オンライン / 2024年7月18日 17時0分

DRオートモービルズは中国製の自動車にイタリアでわずかに手を加え、自社ブランドで販売している。写真はDRブランドの小型SUV「DR5.0」(同社ウェブサイトより)

イタリア政府の競争・市場保護委員会(日本の公正取引委員会に相当)は6月20日、中国製の自動車をイタリア製であるかのように消費者に誤認させる販売手法をとったとして、同国の自動車メーカー「DRオートモービルズ」およびそのアフターサービス子会社に対し600万ユーロ(約10億1969万円)の罰金を科すと発表した。

【写真】中国の奇瑞汽車がDRに供給しているとみられる小型SUV「瑞虎5x」

同委員会によれば、DRは遅くとも2021年12月から、同社が販売する「DR」および「EVO」ブランドの自動車に関する不適切な宣伝を続けてきた。これらのクルマは(ほぼ完成品の状態で)中国からイタリアに輸入された後、DRの工場で一部の部品の取り付けや調整を行っただけであり、同国の消費者法が禁じる不公正取引に該当すると判断した。

供給元は奇瑞汽車や江淮汽車

それだけではない。同委員会はDRのアフターサービス体制の不備についても指摘した。同社は遅くとも2022年以降、販売した自動車のメンテナンス用部品を十分に確保しておらず、消費者が本来受けられるべきアフターサービスが提供されない可能性があるという。

DRが販売する自動車の主な供給元は、中国の国有中堅メーカーの奇瑞汽車(チェリー)や江淮汽車(JAC)だ。

中国の国海証券の調査レポートによれば、奇瑞汽車は2006年にDRと業務提携し、同社が開発した自動車をイタリアでノックダウン生産することに合意した。また、DRは2020年に新たにEVOブランドを立ち上げ、江淮汽車製の自動車の取り扱いを始めた。

DRのビジネスは長年低迷が続いていたが、コロナ禍の影響で生じたヨーロッパ市場での新車の供給不足が転機になり、2021年から販売が急速に上向いた。

イギリスの市場調査会社JATOダイナミクスのデータによれば、ヨーロッパ市場におけるDRブランド車の2023年の登録台数は前年比28%増の2万6809台、EVOブランド車の登録台数は84%増の7287台を記録した。

「DRのクルマは大部分が中国で組み立てられている。イタリアの工場で行っているのは、車両識別番号の打刻やフロントグリルの交換くらいだ」。同社の工場を見学したことがある中国の業界関係者は、財新記者の取材に対してそう証言した。

DRは当局と争う構え

世界の自動車業界では、完成車メーカーが輸出先の国の現地ブランドを使うケースは珍しくない。例えばマレーシアの国民車ブランドとして知られるプロトンは、中国の吉利控股集団(ジーリー)が開発したクルマを自社ブランドで生産・販売している(訳注:吉利はプロトンの株式の49.9%を2017年に買収した)。

そんな中、イタリア当局がDRのビジネスを問題視したのは、(中国製のクルマを自社ブランドで販売したからではなく)消費者をミスリードする宣伝を行っていたからだ。当局はDRに対し、(罰金の支払いと同時に)違法行為の再発防止策を60日以内に提出するよう求めている。

しかしDRは、「わが社のクルマが完全なイタリア製だと宣伝したことはない」と主張。当局の処罰には根拠がないとして、全面的に争う構えだ。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は6月21日

財新 Biz&Tech

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