中小企業の輸出が日本経済「最大の伸び代」である 輸出が途上国より少ない「構造的要因」排除せよ
東洋経済オンライン / 2024年7月18日 8時20分
アメリカでは大企業が輸出額の65%(A Profile of U.S. Importing and Exporting Companies, 2020-2021)、EUでは62%(SMEs Weight in EU’s International Trade in Goods)を占めるのに対し、日本では92.7%です。
輸出企業数で見ると、アメリカは中小企業が97.4%、EUは97.9%を占めていますが、日本は67.4%にとどまっています。
単純に、中小企業が先進国並みに輸出を増やせば、日本の輸出額を大幅に増やせるでしょう。2021年度の輸出額を104兆円とすると、その93%が大企業による輸出で96兆円、中小企業の輸出は8兆円です。
中小企業の輸出額を全体の3割まで増やせば、中小企業の輸出は41兆円となり、現在の5倍に増加します。これにより、輸出額は1.3倍に増え、GDP成長率も6%上昇する要因となります。
輸出総額は対GDP比で25%まで増加します。さらに先進国平均に追いつけるとすれば、1.4倍の拡大余地があります。
こういう主張をすると、「日本の中小企業は商社を通して輸出をしているから、大企業の統計に含まれている。比較は困難だ」と反論されることがあります。しかし、日本の輸出ランキングが世界153位にとどまっていること、輸出が自動車と部品に偏重していることから、その要因は定量的に極めて限定的な説明能力しかないと思います。
国内市場の縮小を補うために輸出は不可欠
日本は人口減少が進んでいるため、今後国内消費者が減少し、供給が余ることになります。国内経済にとって最も重要な生産年齢人口は、1995年からすでに1300万人も減って、2060年までさらに3000万人も減少すると予想されています。
これは一般的に労働量不足の深刻化と捉えられがちですが、生産年齢人口の減少は消費者の減少も意味します。消費者の減少は経済に大きな打撃を与えます。
生産年齢人口の減少の悪影響は、消費者の数が減って、経済の消費総額を減らす効果だけではありません。高齢化により、1人当たりの消費額も減少します。日本では52歳をピークに所得が増えても支出が減少する傾向があり、これは世界的にも確認されています。平均年齢が50歳に迫る日本では、これが個人消費の伸び悩みに拍車をかけます。
これを補うために、余った供給を海外に輸出するのは重要な選択肢の1つです。
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