「親の希望で国公立受験」4浪日大進学の彼の挫折 浪人中にデパートでバイトし心変わりする
東洋経済オンライン / 2024年7月21日 8時30分
しかし、3浪に突入したことで野洲さんの心情にも変化が起こり始めました。
「3浪に入って、ようやく浪人していることに負い目を感じ始めました。みんなそれぞれ大学生活や社会人生活を謳歌している中で、孤独に苛まれていました。
この年も前年までと同じように予備校の単科コースを取りながら宅浪をしていたのですが、勉強に行き詰まってしまったんです。そのため、気晴らしで6月くらいからデパートの催事担当のアルバイトを始めました。
最初は配送作業を手伝うだけだしいいかな……と思っていたのですが、マネージャーから、社員さんが病気で倒れたので販売員をやってくれと言われて。スーツで勤務していたら、秋にはマネージャーの推薦で契約社員になってしまったんです。
まだデパートがバブルの余波で華やかな時代だったので、日曜日にも勤務するようになりました。予備校の単科で受講している授業は週1で行っていたのですが、それ以外は、勉強からは遠ざかってしまいました」
3浪目の学力は現状維持どころか「退化してしまった」と語る野洲さん。受験から遠ざかっている自分が受かるわけがないと思い、この年の受験はパスしてしまいました。
こうして、契約社員のまま野洲さんは4浪目に突入します。
高校を出てから4年目を迎えた野洲さんは、相変わらず仕事で忙しい日々を送っていました。
「お客様のところに伺ったり、『どんな服がいい?』と相談してくださったときに対応させていただいたりすると、喜んでいただけました。その日々で私は、社会の一員になれた感覚があって、仕事のやりがいを見つけられました」
このまま受験生活に戻ってこないことも十分に考えられた野洲さんの生活。実際、この年は予備校も行かずに、デパートでフルタイム勤務をしていたそうです。「勉強から逃げる口実にもなった」と語る社会人生活を送ります。
正社員への憧れが芽生える
しかし、彼は勤務をする中で大学に行く必要性を強く痛感するようになります。
「働くうちに、総合職の社員さんと仲良くなりました。そこで初めて、正社員になることへの憧れが出るんですね。でも、デパートの正社員は四大卒の人しか採用していなかったので、秋ごろに『やっぱり大学に行きたい』と危機感を抱くようになったのです」
野洲さんは今まで、ずっと大学に落ち続けた理由は、やはり「演習量の不足」にあると考えました。その姿勢を改めた野洲さんは、自分が使っていた参考書に再び目を通して、今までやったことを思い出す作業を続けました。そして秋には契約社員をやめ、私立大学に絞って、勉強に力を注ぎます。
この記事に関連するニュース
-
「本気で言うてんの? みんな働いてんねんで」5浪目に突入した息子(33)に年収180万家庭の母親が言い放った一言《地方×底辺校×貧困家庭の三重苦》
文春オンライン / 2024年7月14日 11時0分
-
熊本から2浪東大「第2志望も落ち続けた」彼の絶望 体調もメンタルも崩して、彼が気づいたこと
東洋経済オンライン / 2024年7月14日 8時30分
-
「桜蔭から2浪東大」彼女が"多浪"を決意した理由 桜蔭での生活、浪人時代に出会った運命の授業
東洋経済オンライン / 2024年7月7日 8時30分
-
4浪立命館「漆職人」彼の"後悔し続けた"浪人生活 一方で「無駄ではなかった」とも語る彼のいま
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 8時0分
-
「2浪3留京大」人力車に情熱注ぐ彼の豊かな生き方 数学が苦手なのに理系志望、彼が貫いた信念
東洋経済オンライン / 2024年6月23日 8時20分
ランキング
-
1今回のシステム障害、補償はどうなる?…「保険上の大惨事」「経済的損害は数百億ドル」
読売新聞 / 2024年7月20日 21時24分
-
2次はコメで家計大打撃!? 昨年の猛暑の影響で不足が懸念、約11年ぶりの高値水準に 銘柄によっては品薄や欠品も
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月20日 10時0分
-
3物言う投資家エリオット、スタバ株を大量取得=関係筋
ロイター / 2024年7月20日 5時59分
-
4「みんなの意見は正しい」はウソである…ダメな会社がやめられない「残念な会議」のシンプルな共通点
プレジデントオンライン / 2024年7月20日 16時15分
-
5AI利用で6割が「脅威感じる」 規則・体制整備に遅れも
共同通信 / 2024年7月20日 16時50分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)