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「トランプは神」共和党大会で見た異様な熱気 トランプが「神がかった」演出をする場面も

東洋経済オンライン / 2024年7月21日 8時0分

ニューヨークから来たという年配の女性は「プロ・ゴッド(神の支持者)」と書かれたTシャツを着ていた。トランプ氏は、熱心なキリスト教信者が多い支持者にとって、「神に救われた特別な人物で、次期大統領に生まれ変わる」のだ。

そのトランプ氏は大会初日の15日夜、会場に登場し、「生まれ変わり」の姿をテレビを通して全米に見せた。6月末の大統領候補テレビ討論会で、ライバルのジョー・バイデン大統領が言葉に詰まり、ジル夫人の助けでステージを降りたのとは異なり、銃撃された後も家族席への階段を上り、強靭さを見せつけた。指名される大統領候補が大会初日から姿を見せるのは、極めて珍しい。

しかし、いつも選挙集会で見せる口角を思い切り上げた、不遜な笑みと、テレビのスターのような振る舞いは見られなかった。むしろ、慎重な面持ちで歩き、興奮する支持者とは目を合わせず、「弱さを見せた」(ニューヨーク・タイムズ)とさえ思わせた。

「神の力があった」とトランプも言及

極め付けは18日夜の受諾演説だ。暗殺未遂事件を振り返り、神妙な口調でこう言った。

「(撃たれたが)直後に私は安全だと思った。なぜなら神が私の側についていてくれたからだ」

歓声と拍手がどっと起きた。「神の力」があったと、本人が言及したことになる。そして、集会に来て銃弾の犠牲となった消防士コリー・コンペラトーレ氏が着ていた消防服を舞台に置き、それを抱きしめて、涙を誘う感動的瞬間を生んだ。トランプ氏への連帯を示して、右耳をガーゼで覆った支持者さえいる。
 
銃弾で暗殺された現職の大統領は、リンカーン、ケネディを含む4人に上る。アメリカは、ポリティカル・バイオレンスでリーダーを失う困難を何度も乗り越えてきた特殊な国だ。

2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件では、民主主義を象徴する議会で6人もの市民が命を落とした。2022年10月には、ナンシー・ペロシ下院議長(当時、民主党)の夫ポール氏が自宅に侵入した男性にハンマーで殴られ、頭蓋骨骨折の重傷を負っている。

トランプ支持者の話を聞くと、「宗教的」な印象が強い。

大会に参加できる代議員ではないのに、南部バージニア州から車で駆けつけて会場入り口に何時間もたたずんでいる教職員ジェイミー・ファーガソンさんに出会った。晴れやかな表情で、「トランプは真にアメリカを愛している」と繰り返す。

「ホワイトハウスには長年、本当に国を愛する人を迎えたことがないように感じる。家族が共和党員だったので選挙には行っていたが、これまで政治にはまったく関心がなかった。でも2015年にトランプが立候補したとき、この人は違う、と思い、選対のボランティアに生まれて初めて応募した」と話す。

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