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「報酬や数値目標」の追求がもたらす残念な結果 数値化が誤った方向に組織や社会を導くとき

東洋経済オンライン / 2024年7月22日 11時0分

公共部門は複雑で、検討事項も多ければ利害関係者も多く、数字に焦点を合わせようとして、全体にとって重要な領域の人材と能力を割くことも多い。

多かれ少なかれ暗黙の了解となっている次の3つの点が、組織における数字および測定文化の土台だ。

第一に、経験に基づく主観的な評価を、標準化された数字と規則で置き換えることが可能で、多くの場合はそれが必要とされる。

第二に、数字は予測可能性と透明性をもたらし、それによって組織が目標を達成する力が向上する。

第三に、被雇用者の意欲向上と管理に一番適している方法は、賞罰を金銭や名声という形で実績と結びつけることになる。

この本ですでに見てきた課題や、人間の生来の欠点と数字の変わりやすさの両方にまつわる課題を考えると、これらの3点がいつも正しいかどうかはわからない。

数字によって人は簡単に混乱に陥るし、組織や公共機関も混乱することがある――それは数量化と測定の方法のせいであり、また重要な決定を下すために数字を用いて解釈する方法のせいでもある。

幸福度を測っていると、幸福度が下がる

もしどうしても測定と計算が必要ならば、楽しくてやる気の出るものを測定するのが一番だ。

ほとんどの国が発展と成長の指標として用いる国民総生産(GNP)という数字を例にとってみよう。それとはまったく異なる新しい数字、国民総幸福量(GNH)を用いるとどうなるのか。

GNHは新興の山岳国家ブータンで、GNPに代わって国の状態を測定する値として提唱された。とても素敵ではないだろうか。

とはいえ……もうやってみたのだが、一定期間にわたって常に人々の幸福度を測っていると、測るごとに少しずつ幸福度が減っていったのだった。何と言うことだ。

(翻訳:西田美緒子)

ミカエル・ダレーン:ストックホルム商科大学教授

ヘルゲ・トルビョルンセン:ノルウェー経済高等学院(NHH)教授

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