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体操・宮田「五輪辞退は厳しすぎる」に言いたい事 スケボ選手の飲酒が許されて宮田はNGだったワケ

東洋経済オンライン / 2024年7月22日 15時0分

ただし、「一般人」が行ったのであれば、「若気の至り」として大目に見てもらえることも多いだろう。「出場辞退は厳しすぎるのでは?」という意見は、こうした考え方に基づいているのではないかと思う。

五輪という「聖地」で求められる行動

今回の場合は、宮田選手が「一般人」と言えないだけでなく、五輪という特別な場での代表でもある。

日本体操協会の行動規範では、日本代表として活動する場では「20歳以上でも原則的に喫煙は禁止する」と定められている。

日本体操協会だけでなく、五輪はIOC、JOCをはじめ、多くの団体が関わっている。政治家も関わっているし、グローバルの大手企業がパートナー(スポンサー)として名を連ね、契約金を支払っている。

筆者の前職場・広告代理店では、五輪を担当している同僚が何名かいたが、彼らは世界的なプロジェクトに関われることを光栄に思う反面、多方面への配慮と、多くの関係者との調整で大変な思いをしながら仕事をしていた。

代表選手は、文字通り国を代表して出場している。厳しい行動規範や倫理基準が設けられるのは、やむを得ないことでもある。

順天堂大学の声明は、表現には配慮しつつも、真意を表明したものであるとは思う。しかし、いまさら決定が覆される可能性が薄いこと、さらに議論を巻き起こしてしまいかねないことを考えると、謝罪と、宮田選手への指導と支援の意思表明をするにとどめておいたほうが適切だっただろう。

スケートボード選手の「未成年飲酒」はなぜ許された?

今回の件と比較で出されるのが、今年5月のパリ五輪の予選の上海大会で、20歳未満の日本人のスケートボード選手4名が中国国内で飲酒をした件だ。この時は、厳重注意などにとどまり、出場停止には至らなかった。実名も公表されていない。

選手は飲酒する意図がなく、スポンサーのスタッフから、中国では18歳以上は飲酒ができると勧められ、飲酒量も少量だったことから、軽い処分で済んだという。

実際、飲酒や喫煙の年齢制限は、国籍ではなく、滞在国、滞在地の法律や条例が適用される。

フランスでは18歳以上から飲酒、喫煙が認められるが、宮田選手が飲酒、喫煙を行ったとされるのは日本国内であり、法律違反となる。また、飲酒は強化合宿で滞在した北区の味の素ナショナルトレーニングセンター宿泊棟で行われたことであり、やはり団体の行動規範にも反している。

一方で、中国はお酒、たばこが購入可能な年齢は18歳以上だが、喫煙や飲酒の法律による年齢制限は設けられていないという。つまり、スケートボード選手は法律違反をしていないということになる。

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