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中国の地方政府「土地払い下げ」が絶不調の実態 広州市では2024年上半期の入札成立わずか4件

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 17時30分

住宅開発用地の払い下げ入札の不調は、中国4大都市の1つである広州市でさえ極めて深刻だ(写真はイメージ)

中国・広東省の広州市政府は6月25日、同市茘湾区の一角にある住宅開発用地の払い下げ入札を実施した。この土地の(容積率ベースの)計画建築面積は2万5800平方メートル。最低制限価格は総額6億4500万元(約142億円)、建築面積1平方メートル当たりで2万5000元(約54万9500円)に設定された。

【写真】経営危機に陥っている中国の不動産大手、恒大集団が広州市内で手がける開発案件

入札には国有不動産大手の保利発展(ポリ・デベロップメント)および緑城中国(グリーンタウン・チャイナ)、オンライン不動産情報サービスの貝壳找房(ベイクー)の3社が参加した。12回にわたる札入れの結果、保利発展が総額約7億元(約154億円)でこの土地を落札した。

建築面積当たりに換算すると、成約価格は1平方メートル当たり約2万7100元(約59万5700円)。最低制限価格に対して8.5%のプレミアムがついた格好だ。

最低価格超えは1件だけ

財新記者の取材によれば、広州市政府は今回の入札を成功させるため、不動産デベロッパーから購入希望価格を繰り返しヒアリングするなど周到な準備を重ねていた。市政府が設定した最低制限価格は、周辺地域の過去の土地取引事例に比べて大幅に低い水準だ。

今回の入札は、広州市政府による2024年上半期の最後の住宅開発用地払い下げでもあった。財新記者の調べによれば、上半期に成立した入札は(今回を含めて)わずか4件、売却総額は64億7700万元(約1424億円)にとどまっている。

しかも、これら4件のうち成約価格が最低制限価格を超えたのは今回の1件だけ。他の3件は2月20日、4月26日、6月20日にそれぞれ成立したが、いずれも最低制限価格での落札だった。

上半期の住宅開発用地の払い下げ実績がわずか4件という惨状は、広州市政府にとって大きな誤算だった。というのも、同市はもともと2024年に90件以上の払い下げを予定していたからだ。半年時点でこのありさまでは、計画達成はもはや困難と言わざるを得ない。

「広州市では住宅開発用地の(払い下げによる)供給計画は事欠かないが、住宅市場の(需要サイドの)冷え込みが厳しすぎる」。財新記者の取材に応じた大手デベロッパーの関係者は、入札不調の背景をそう話す。

市場調査会社の克爾瑞のデータによれば、広州市の新築分譲住宅の販売成約面積は2024年1月から5月までの累計で254万1900平方メートルと、前年同期の半分に落ち込んだ。また、同じ期間の販売成約総額は1085億500万元(約2兆3851億円)と、同33%減少した。

入札の中止・延期が35回

前出の関係者によれば、不動産デベロッパーは住宅の販売動向を見ながら開発用地の仕入れを検討する。広州市の住宅市場では取引件数と取引価格が同時に下がり続けており、まだ底が見えない。そのような状況下では、新たな開発用地の仕入れには動けないのが実情だ。

一方、土地の売主である地方政府の立場では、入札を実施しても不成立が続くような事態は避けたい。実際、広州市政府は2024年上半期に、いったん公示した入札を何度も中止したり延期したりしてきた。

財新記者が広州公共資源交易センターの記録を調べたところ、2024年の年初から6月下旬までに広州市政府が発表した土地払い下げの中止や延期の公告は、合計35件に上った。

(財新記者:王婧)
※原文の配信は6月25日

財新 Biz&Tech

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