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「米国株の堅調」は政権がどちらに転んでも続く 「トランプ返り咲き」なら高インフレになる?

東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時30分

確かに、米国株市場の一部ではバブルの領域まで株高が起きていることから、短期的にはこうした大型メガキャップ企業の個別要因などで、株式市場全体が調整する場面はあるだろう。ただ、逆にいえば、米国株式市場の上昇率は、ハイテク銘柄を除けばかなり控え目とも言える。

アメリカ経済が安定成長する中で、企業業績全体の利益は堅調な推移が予想されることから、まだ出遅れ感が強い小型株などでは株高の余地があるだろう。冒頭で紹介した4月末時点もそうだったが、もし大型メガキャップ株やハイテク株が下落しても、同国の株式市場全体の基調を変えるリスクは限定的であり、割高になったこれらの大型株の調整があっても、株式市場全体にとっては押し目買いの機会になるだろう。

今後の金融市場を考えるうえでは、11月5日に控える大統領選挙に対する思惑が材料になりそうだ。7月13日にはトランプ氏に対する銃撃事件が起こり、そして21日にはバイデン氏が大統領選挙からの撤退を表明するなど、選挙を巡る情勢は変わりつつある。

「トランプ勝利」への思惑が7月に入ってからの株高を後押ししていたが、今後の政治動向に関する報道で、市場心理は揺れ動く場面があるかもしれない。ただ、当面はトランプ氏有利の情勢は変わらないとみられる。

大統領選挙は、アメリカの政治体制は言うに及ばず、世界の安全保障の枠組み、ひいては各地域の地政学リスクに広範囲な影響を及ぼしうる。ただ、どのような政治体制になっても、2025年にかけてアメリカ経済全体でみれば、底堅い成長が続くだろうと筆者は予想している。

さらに2025年までを見据えると、まず、インフレ制御に成功したといってよいFRBの金融政策が、経済安定化の手段として柔軟に使えることが経済成長を支えそうだ。

第2に、コロナ禍後の経済回復はすでに2024年時点で4年目を迎えているが、アメリカ経済全体を見渡すと、企業や家計による実物資産や債務残高などでは「過剰な積み上がり」はみられない。

アメリカの景気回復期は中盤戦に差し掛かった段階だろう。このため、民主党、共和党いずれの政権になっても、アメリカ経済の回復は2025年にかけて続く、と筆者は予想している。

「第2次トランプ政権」でも、米国株への投資環境は良好

仮にトランプ氏の再選が決まり、第2次トランプ政権が公約通りに広範囲な関税引き上げ政策を行えばどうなるか。インフレ率が再び高まることでFRBによる政策のかじ取りは難しくなるだろう。筆者はアメリカ経済の成長率は政治体制によって変わらないとみているが、政権によってドル円相場を含めた為替市場の値動きは変わりうる。

そのとき株式市場はどうなるだろうか。強硬な関税政策に対する懸念が高まるいっぽうで、高めのインフレが長引く中でドル安円高に動く可能性が低下することから、米国株への投資環境という点では、より望ましい状況になるとみられる。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

村上 尚己:エコノミスト

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