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「多発する炎上」が社会を滅亡させる宿命的な筋道 人類の脳の発達が生み出した「正義中毒」の末路

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 18時0分

元々は人間も動物と同じ、ただ生まれて、食べて育ち、起きて寝て、子を産み育てて死んでいくだけの存在だったのに、なまじ脳を発達させてしまったために苦しむようになってしまった。互いにバカと罵り合いながら、解決しようのない、そもそも解決する気もない争いを続けているのが人間という種の特徴なのだとしたら、最も悲しい生き物だと言えるかもしれません。

炎上ビジネスに踊らされる「正義中毒者」たち

一方、他人の粗探しに奔走する正義中毒の人たちを一歩引いたところから冷ややかに俯瞰している人もいます。そのなかには、大勢の正義中毒者をコントロールすることで、うまくビジネスにしてしまう例もあります。いわゆる「炎上ビジネス」と呼ばれるものです。

正義中毒者は常に、自らを絶対的な正義と確信できる不正義を、飢えた動物のように求めています。ですから、これをエンターテインメントビジネスとして考えれば、わざとわかりやすい失態を演じて、彼らに餌を供給し、その代価として報酬を集める仕組みが成立するわけです。

わかりやすい不正義の発生で世論が沸騰しているタイミングで、意図的に不正義とされている側をかばったり、正義のポジションで非難している人を厳しく批判する、というのも有効なタクティクス(戦術)です。

正義中毒者たちは燃料を与えられてますます勢いよく燃え上がり、同時にそれが新たな話題となります。ここで炎上ビジネスを仕掛けた側に注目が集まるわけです。最近の芸能界、芸能事務所を巡るさまざまな議論でも見られたように、SNSの出現でいわゆる外野が参画しやすい仕組みが作られたわけです。

一方で、そうした行為を炎上ビジネスと批判することそのものが間違っているのではないか、言論封じではないか、などといった新たなテーマも浮上してきます。

大事件になればなるほど、炎上のチャンスも増えていくことになるわけです。ここでは、話題としていかに素早く、気持ちよく、力強く沸騰するかがポイントなので、フラットな情報、ニュートラルな見方を保つための努力はあまり必要ありません。

正義中毒者が喜んで消費してくれるような不正義なネタを、スピード感を伴って供給できれば、話題の拡散による知名度や認知度の向上、ひいてはビジネスのスケールアップにまでつながるという仕掛けです。

多様性を狭めた集団は滅亡に向かう

正義中毒にかかった人たちは、一見するとそれぞれ独自の理論、独自の正義を持っているように見えます。しかし実際は、自分がターゲットにされることを恐れる気持ちから、多数派に流れている人が多いと言えるでしょう。

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