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中国不動産業界「国有大手」さえ土地買わぬ手詰り 市況が一段と冷え込み、資金力あっても様子見

東洋経済オンライン / 2024年7月26日 20時0分

資金力に不安のない国有不動産大手も、開発用地の調達を大幅に減らしている。写真は2023年の土地購入額が首位だった保利発展の大型開発案件(同社ウェブサイトより)

中国の不動産不況が長期化するなか、不動産デベロッパーの新規開発用地の調達意欲が大幅に低下している。

【写真】経営危機に陥っている中国の民営不動産大手、恒大集団の開発案件

不動産調査会社の中指研究院がまとめたデータによれば、2024年上半期(1~6月)に土地を購入した上位100社(取得額ベース)の購入総額は3801億元(約8兆4087億円)にとどまり、前年同期比35.8%減少した。

それだけではない。複数の業界関係者によれば、「上位100社」の顔ぶれは過去数年で大きく入れ替わり、現在は地方政府直属の都市開発投資会社が大きな割合を占めているという。

地方政府系は土地を“塩漬け”

「これらの都市開発投資会社は、地方政府の(開発用地払い下げによる)歳入を支えるために土地を購入している。そうした土地の多くは実際には開発されない」。財新記者の取材に応じた大手不動産会社の担当者は、そう実態を打ち明けた。

不動産調査会社の克爾瑞のレポートによれば、2024年1月から5月までの不動産投資額を基準にした上位100社のうち、専業の不動産デベロッパーは民営企業が23社、国有企業が21社と、両者合わせても半分に満たなかった。残りの56社は、いずれも地方政府系の都市開発投資会社だった。

都市開発投資会社は、購入した土地の多くを長期間“塩漬け”にしてしまう。そのため、完成物件の販売額上位100社と土地取得額の上位100社の顔ぶれが乖離するという異常事態が起きている。前出の克爾瑞のレポートによれば、2024年1月から5月までの物件販売額で見た上位100社のうち、7割近い企業は2024年の土地取得額がゼロだった。

注目すべきなのは、不動産不況の最中でも開発用地を(民営不動産会社に比べて)積極的に調達してきた中央政府傘下の国有不動産大手が、ここに来て購入規模を大幅に縮小していることだ。

中指研究院のデータによれば、2023年の土地取得額のランキングでは保利発展控股集団(ポリ・デベロップメント)が1125億元(約2兆4888億円)で首位、中海企業発展集団(チャイナ・オーバーシーズ)が1101億元(約2兆4357億円)で第2位、華潤置地(チャイナ・リソーシズ・ランド)が808億元(約1兆7875億円)で第3位と、中央政府系大手がトップ3を独占していた。

中央政府系の土地取得が激減

ところが2024年上半期(1~6月)のランキングでは、これら3社はすべてトップ3から姿を消した。中指研究院のデータによれば、保利発展の上半期の土地取得額はわずか110億元(約2433億円)で第8位、中海企業発展は120億元(約2655億円)で第7位、華潤置地は154億元(約3407億円)で第5位にそれぞれ後退した。

「2024年に入って不動産市場が一段と冷え込み、販売件数も販売価格も大幅に下落している。(資金力に不安のない)中央政府系の国有企業ですら、新規開発用地の調達を様子見せざるを得ない状況だ」

ある業界関係者は、上述3社の土地取得額が激減した背景をそう解説した。

完成物件の販売額のデータは、この関係者のコメントを裏付けている。中指研究院によれば、2024年1月から5月までの保利発展の物件販売額は1313億元(約2兆9047億円)にとどまり、前年同期比32.9%減少。中海企業発展は1017億元(2兆2498億円)で同30.8%減、華潤置地は920億元(2兆353億円)で35.9%減と、そろって3割超の落ち込みを記録した。

(財新記者:王婧)
※原文の配信は6月29日

財新 Biz&Tech

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