不動産やITが搾取ビジネスの温床になる納得の訳 気づかぬうちに不本意な大金を払ってしまう
東洋経済オンライン / 2024年7月26日 17時30分
人間は、知識があっても、疑り深くても、搾取されてしまうことは珍しくありません。周辺のオイシイ話に振り回されないようにするにはどうすればよいか、『できる社長のお金の守り方 オイシイ話はなぜ稼げないのか』より一部抜粋・再構成のうえ、特に注意すべき業界についてお伝えします。
民泊ブームを仕掛けた業界
不動産業界のように、複雑な法知識や専門用語が飛び交う難解な業界では、詐欺を見抜くことは困難になります。
たとえば、2017年前後に戸建てやマンションの一室を活用した「民泊」というビジネスが流行になりました。
民泊は、持ち家や別荘など、戸建てやマンションを活用し、使っていない期間だけ、他者に貸し出して収益を上げる「シェアリングエコノミー」というビジネスです。
自分が使ったり、使わなかったりと「建物利用をシェア」するから「シェアリング(共有)」する「エコノミー(経済)」です。この民泊ビジネスの流行に便乗して登場したのが、民泊ビジネスコンサルタントや、悪質な不動産会社、建設会社です。
彼らは、巧みに「インバウンド(訪日外国人の増加)で、宿泊施設が足りてないから、今、民泊ビジネスに投資したら儲かりますよ」とあおりました。
ですが、あおっている側にとっては、情報を信じて物件を買った顧客が民泊で儲かろうが、失敗しようが関係ないのです。
民泊コンサルタントは、コンサルタント報酬やセミナー料をもらえば「利益が確定」して終わりです。そのほか、不動産会社は物件仲介手数料がもらえれば終わりですし、建設会社も改装工事をして施工代金をもらえば終わりです。
当時、僕は観光都市の京都を俯瞰していましたが、宿泊施設が足りていないというのは、たしかに事実としてありました。
しかし、実際は多くの地区で大きなホテルが建設中でした。つまり、誰でもかれでも形式的に民泊を始めれば儲かるという状況ではなかったのです。
昔から不動産業界というのは、法律的にも、不動産価格の仕組みや建物構造の知識なども複雑な業界ですので、警戒すべき要素が多い分野です。一時の民泊ブームでは、それが広範囲に露呈してしまった事例だったと言えます。
技術革新が速いIT業界にも注意
仕組みや構造が複雑な業界と言えば、IT業界もあります。IT業界の場合、トレンドがコロコロと変わったり、技術革新を受けて業界全体で発展したりするので、より騙されやすい環境と言えます。
たとえば、インターネット黎明期では、いち早くホームページ制作を事業に取り入れた業者が、実際には(HTMLというプログラム言語を)ちゃちゃっと書き換えるだけで数万円を儲ける、というビジネスが横行しました。ただし、それについては、いち早く難解な知識を習得した付加価値と言えなくもありません。
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