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雑貨の中川政七商店が「コンサル」を手がける狙い スモールビジネスの経営者を一貫サポート

東洋経済オンライン / 2024年7月29日 8時0分

中川政七商店が支援して立ち上げた商品(写真:中川政七商店)

40~50代のセカンドキャリアとして注目されるのが「スモールビジネス」の開業だ。必要な資金は手元にある50万円で十分。まずは副業を始めながら、最適な事業を探してみよう。『週刊東洋経済』8月3日号の第1特集は「40~50代のための副業・開業のススメ」だ。

生活雑貨の企画、小売りを主な事業とする中川政七商店は、2009年から主に小規模な工芸メーカーを対象にコンサルティングを行ってきた。経営ノウハウからブランド開発、流通、広告・宣伝、販路開拓など細部に至るまで一貫してサポートする。

【写真】中川政七商店の教育事業はどのような雰囲気か

「日本の工芸を元気にする」ことが最大の目的で、一般的なコンサルティング料よりも低い料金でサービスを提供してきた。

伝統的工芸品産業振興協会によると、伝統工芸品の産地出荷額は最盛期の約5分の1まで減少した。

廃業する工芸メーカーも増えている。中川政七商店は自社工場を持たず、800社を超える工芸メーカーと手を結び、商品開発を行っているため、メーカーの減少から大きな影響を受ける。

ものづくりへの思いをどう実現するか

「工芸品が売れなくなっている背景として、メーカーはものづくり、流通は卸という昔からの業界構造がある。状況を変えていくためには、メーカーが魅力的な商品を作り、発信していく必要がある。そこで『経営をよくする』ことを目的に、事業計画からブランド開発をサポートしたいと思った。それが当社のコンサルティング。ものづくりへの思いを、経営を通じてどう実現するか。コンサルティングは、決算書を見て、現状診断をするところから始める」(中川政七商店 カンパニーデザイン事業部の安田翔氏)

破産寸前だった年商数千万円の陶磁器メーカーの業務改善を手伝い、産地の強みを生かした新ブランド立ち上げにつなげることで、年商数億円規模まで再起させたこともあったという。

中川政七商店自身が急成長した裏にはさまざまなノウハウがある。もう一歩踏み込んで、それを全国の事業後継者や起業家などに幅広く伝え始めたのは16年から。

講演や講座などの教育事業を展開している。半年で全6回の「経営とブランディング講座」はオンラインのほか、対面講座も全国各地で実施。事業者とデザイナーとのマッチングなど、ブランド開発に向けた実務的なサポートも提供する。

コンサルティングの講座は低料金(全6回で25万円前後)で受けられるため、企業だけでなく個人の利用者も多い。伝統的な事業の若い後継者が講座を受講し、新規事業としてブランドを開発した例などもある。

継続性が勝負

「今は山奥からでもSNSで商品の情報を発信し、全国から受注できる。クラウドファンディングを利用してニーズを調査することも可能で、個人が事業をしやすい環境が整っている。ただしその分、競合も多くなる。ブランドを立ち上げるまでより、その後の継続性が勝負となる」と安田氏は話す。

受講する20〜30社のうち、平均5社ほどが実際にブランドの立ち上げに成功する。そこから2〜3社はヒット商品を出しているという。

「スモールビジネスの大きな利点は個性だ。スモールビジネスの活性化により個性的なブランドが増えること、とくに地域に魅力的な店、商品、産業が生まれて、多様な文化が日本社会に育つことを期待している」(安田氏)

人気雑貨店と全国のスモールビジネスとのコラボレーションは今後もさらに広がっていきそうだ。

圓岡 志麻:フリーライター

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