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「1人で食事が常態化」現役世代の孤食という問題 コミュニティーディナーを始めた会社の意図

東洋経済オンライン / 2024年7月29日 14時0分

2時間の会の定員は15人でほぼ初対面同士だが、スタッフが1人ファシリテーターとして参加し、活動の主旨を説明し、4人ずつのユニットでテーマを設定して語り合うなど、打ち解けやすい仕掛けをする。

参加者には人の話をさえぎらず最後まで聞くことを求める。「普段はしゃべれないけれど、皆が聞いてくれるから、自分の話を最後までできた。自分がこんな思いを持っていると気づいた、という人もいます」と小寺社長。

コロナ禍と重なり、思うように実施できない時期が続いたが、昨年10月ぐらいから軌道に乗り、現在は月2回程度実施する。参加者は主に20~50代の現役世代で、職業や性別はバラバラ。名古屋など、地方から来る人もいる。

小寺社長は、2人の女性参加者から「友達ができた」と報告を受けている。「そのうちの1人は、ご自身で『おひとり様』と言う40~50代の金融系企業でバリバリ働く女性。できたお友達と連絡を取り合って、いろいろなところへ一緒に行っているそうです。そういうつながりが生まれていくことが、とてもうれしいです」。

はぐくむが志すのは、多様なライフスタイル、価値観を持つ人たちが自分らしく生きられる環境を整えること。50代のあるビジネスパーソンは、「不特定多数が来ると、名刺交換会になって、何らかの利益を目的にしてしまうけれど、ここは自然体でいられるのが心地よい。ユニークな場」と評した。

小寺社長は、「おいしく食べられると、それだけでハッピーになる側面があるのではないかと感じています。お互いのことを知りたくなったり、自分の話がしたくなる」と話す。

本場デンマークでは200人規模のディナー

「知らず知らずに最短最速の生き方になってしまう」資本主義社会に違和感を抱いてきた小寺社長。デンマークで、現状に働きかける道筋が見えたという。

2017年から、旅行社と企画したツアーに毎年1~2回同行する際、以前は教会だった民間の文化施設「アブサロン」で毎晩開催されるコミュニティーディナーに参加してきた。

知らない人同士も含む200人もの会食で、会話を楽しみながら食事を共にする。「同じ料理を同じタイミングで食べることから生まれる共同体感覚。日本でもやりたい」と思い立った。

周囲から、「日本では根づかないと思う」「日本人はシャイだから、そういうのは好きじゃないと思う」などと言われたが、やり方次第だと小寺社長は考えた。そのためにファシリテーターを導入する。そんな小寺社長の原点は、少年時代にある。

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