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「8月以降のハリケーン米国襲来」に注意が必要だ 原油先物や株式相場は乱高下する可能性が大

東洋経済オンライン / 2024年7月30日 10時30分

前回6月のレポートでは「熱帯性暴風雨23個、ハリケーンレベル11個、うちカテゴリー3以上5個」だったことから、それぞれすべて引き上げられた。しかも、1991年から2020年までの平均発生数がそれぞれ14.4個、7.2個、3.2個なのだから、いかに今年の発生数が多く予想されているのかがわかる。

いずれにしても、大型のハリケーンが発生すると、その進路によっては原油や天然ガスなどのエネルギー市場や、経済そのものに大きな影響を及ぼすことが多い。ではハリケーンが発生した際、具体的にどんな点に注意して動向を見守ればよいのだろうか。

メキシコ湾に侵入すれば、石油や天然ガス生産が止まる

ハリケーンによっていちばん大きく影響を受けるのは、やはりメキシコ湾の原油や天然ガスの生産施設だ。石油の海上油田はメキシコ湾の中央部からやや西側、天然ガスの施設はやや東側に多く存在する。

もし、ハリケーンがそれらを直撃するような進路をとれば、石油や天然ガスの生産は確実に停止する。実は、かつては相対的に弱いハリケーンならが接近してもギリギリまで稼働を継続するような施設もあった。だが、2010年に英国のBPの海上油田での大規模原油流出事故が発生して以降は状況が一変。最近は、どの施設も職員の安全を最優先にして、接近前から施設の稼働を停止するため、生産停止の規模や期間も長くなる傾向にある。

現在、メキシコ湾全体では、原油生産は日量200万バレル弱、アメリカ全体でみると約15%、また天然ガスは、同国全体の5%相当が生産されていると言われる。もし大型のハリケーンがメキシコ湾を直撃すれば、ほぼすべての施設の稼働が停止することになるため、需給に及ぼす影響も、大きなものになる。

上述の数字から単純に計算すれば、メキシコ湾での原油生産の稼働停止が合計で5日間に及んだ場合、生産停止の総量は1000万バレルに上り、その分は、当然ながらアメリカ国内の在庫の取り崩しで補われることになるわけだ。

原油先物市場では、毎週水曜に発表される同国のエネルギー省情報局(EIA)の週間在庫統計が注目されている。在庫の大幅な変動(積み増しや取り崩し)の場合にはそれに反応して相場が大きく動くことも多い。通常なら300万バレル以上の変動があれば市場にサプライズと受け止められることが多いため、もし1000万バレルを超えるような取り崩しとなれば、買い意欲(先物相場の上昇)もかなりのものになると見ておいたほうがよい。

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