そっくり商品も出現「ユニクロ」中国で不振の異変 国内に次いで大きな市場、この1年で何起きた?
東洋経済オンライン / 2024年7月31日 8時0分
潘氏はユニクロ中国事業の不振の原因を、コロナ禍収束によるリベンジ消費で前年同期の業績がよかったことの反動、消費意欲の低下や天候不順、ショッピングモールの集客力低下、さらにマーケティング活動の不足や、ニーズにあった商品構成が不十分だったことなどと説明した。
天候要因は別として、「景気低迷で財布のひもが固くなった消費者に逃げられた」と総括できる。
潘氏は中国の消費者の新たな価値観として「平替(ピンティ)」というキーワードを紹介したが、そのことは中国でも話題になった。
「平替」とは「より安価な代替品」という意味で、例えるなら無印良品の商品とどこか似ている、100円均一の収納ケースといったところだ。
潘氏は中国の消費トレンドとしてさらっと紹介したが、ユニクロは中国でまさに「平替」に売り上げを吸われている。
中国のECプラットフォーム「タオバオ(淘宝)」や「ピンドゥドゥ(拼多多)」で「優衣庫(ユニクロ)平替」を検索すると、「ユニクロと同デザイン」「商品タグを切ったユニクロ」「ユニクロ差押え品」と称したユニクロもどきの商品が多数ヒットする。価格は本家より2~5割安い。
中国のアパレル工場は、越境ECのSHEINのようなファストファッションにトレンドを反映した新商品を猛スピードで供給している。そこで経験を蓄積し、品質やデザインを向上させ、自らECを通じて消費者に直接商品を販売するD2Cブランドが台頭している。
ユニクロは1998年に1900円のフリースが大ヒットしたことで全国区のブランドに成長し、アパレル業界に価格破壊を起こしてデフレ時代を勝ち抜いた。
機能的でコストパフォーマンスに優れるというブランドイメージは日本市場で完全に定着しており、学校の制服にも採用されるようになった。この1、2年で主力製品を値上げしたが価格競争力は揺るがない。
中国の消費者がユニクロに抱くイメージは、日本とは異なる。ユニクロは2002年に同市場に進出したが、知名度が高まり店舗数が急激に増えたのは中国法人が設立された2012年ごろからで、消費力が急速に向上する中国人消費者に対し、コスパの高さや機能性ではなく「日本のおしゃれなアパレルブランド」を打ち出した。
為替レートによって日本円換算額は変動するものの、同じ商品なら日本で購入したほうが安く、2010年代に中国に住んでいた筆者は、日本に一時帰国した際にセールで値下げされたウルトラライトダウンジャケットを購入し、お土産に配ってとても喜ばれた。
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