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中国自動車市場で「ディーラーの流通在庫」が急増 政府の買い替え奨励キャンペーンも効果見えず

東洋経済オンライン / 2024年8月1日 6時0分

中国では個人消費の低迷が自動車にも波及し、販売業者が抱える在庫が増えている。写真は新興EVメーカー、小鵬汽車のショールーム(同社ウェブサイトより)

中国の自動車市場でディーラーが抱える流通在庫が膨らみ、販売業者の経営の重荷になっている。

【写真】高級スポーツカーブランドのポルシェでは、中国のディーラーが集団で車両の仕入れを拒否する事件が起きた

販売業者の団体である中国汽車流通協会が発表した2024年6月の「自動車ディーラー在庫警告指数」は62.3%と、前月より4.1ポイント上昇。1年前との比較では8.3ポイント高く、春節(中国の旧正月)の季節要因を受けた2月を除いて2024年の最高値を記録した。

(訳注:中国では春節を新車で迎えたいと望む消費者が多く、ディーラーは通常より在庫を積み増して対応する)

年初から在庫過剰が持続

在庫警告指数は、販売業者の在庫金額を手元資金で割った数字をベースに、市場の需給状況なども加味して総合的に算出される。50%以下なら在庫水準は適正(またはメーカーの供給不足)であり、50%以上なら在庫過剰であることを意味する。

2024年に入って以来、同指数は毎月50%を上回って推移してきた。中国汽車流通協会の分析によれば、6月の指数が一段と上昇した背景には、中国の地方が農繁期に入ったことや、例年にない高気温、中国南部の大雨などの要素が、販売店の集客やセールスに影響したことがあるという。

販売業者側にも誤算があった。中国政府が推進する買い替え奨励キャンペーン「以旧換新」や、中国のEC(電子商取引)業界が毎年6月に開催する大型セールの効果に期待し、ふだんより在庫を増やしていたのだ。ところが、フタを開けてみると売れ行きは振るわず、経営状況の悪化を招いた。

中国の自動車業界では、自動車メーカーと販売業者の間で年間および四半期ごとの販売目標を取り決め、その達成度合いに応じてメーカーがインセンティブ(販売奨励金)を支払うのが慣例になっている。

しかし中国汽車流通協会の調査によれば、2024年上半期(1~6月)の販売目標を達成した販売業者は全体の2割弱にとどまった。その一方、目標達成率が50%に届かなかった業者が13.5%と1割を超えた。

このことは、8割強のディーラーが上半期のインセンティブを十分に得られなかったか、またはインセンティブがゼロだったことを意味する。

4割を超えるディーラーが赤字

中国汽車流通協会が2024年3月に発表したレポートによれば、2023年の事業損益が黒字だった販売業者は全体の37.6%、収支トントンも18.8%にとどまり、残る43.5%が赤字だった。2024年の上半期に、赤字ディーラーの比率がさらに増えたことは想像に難くない。

そんな中、メーカーとディーラーの間のあつれきも表面化している。例えば5月には、ドイツの高級スポーツカーブランドのポルシェを販売する複数のディーラーが、(ポルシェ中国法人が求める販売目標が高すぎるとして)集団で車両の仕入れを拒否する事件が起きた。

ドイツ高級車大手のBMWでも、2024年1~3月期の中国市場での販売台数が前年同期比3.8%減少する中、(インセンティブを得るために自腹の値引きで販売台数をかさ上げしている)ディーラーの不満が高まっているもようだ。業界内の噂によれば、BMWは(メーカー負担による)3%の値引きなどを含む特別対応を、中国全土のディーラーに通知したという。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は7月2日

財新 Biz&Tech

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