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三陽商会「真夏も服を売りたい!」大変貌した理由 夏の長期化に暖冬も、アパレル業界の深刻問題

東洋経済オンライン / 2024年8月4日 8時0分

主力ブランド「ポール・スチュアート」のウィメンズ売り場、夏物も多くそろえた(写真:三陽商会)

すでに最高気温が40度を超えた地域もあるなど、危険な暑さが続く今年の夏。直射日光を避けるため、街中には日傘の花が咲いている。

【写真で見る】三陽商会が開発した「夏から秋まで着られる服」とは?

エアコンや飲料、アイスクリームなどが「猛暑効果」で伸びる一方、頭を悩ます業界もある。その1つがアパレルだ。アパレル業界は小売業でもとくに季節を先取りして商品や売り場を展開する。酷暑かつ夏が長期化したことで、秋物衣料を先取りするのはもはや現実的ではない。

「われわれはコートやジャケットなどアウターが得意な会社だが、そうも言っていられない。本格的に猛暑対策をしなければいけないのではないか」。そう話すのは、アパレル大手・三陽商会の加藤郁郎副社長だ。

1年は「四季」から「五季」へ

冬に稼ぐ会社の代表格である三陽商会は今年3月、6~8月に投入する新商品の展示を行う「盛夏展」を10年ぶりに開催した。

近年、同社の展示会は春夏と秋冬の年2回が基本だったが、夏商材に特化した展示会を追加した形だ。「通常、7月はクリアランスセールを行う時期。夏物の新規投入は6月でほぼ終わっていた」(加藤副社長)。

しかし、今年は夏こそ力を入れて新商品を投入するのが三陽商会の考えだ。同社は1年を四季ではなく「五季」と捉え、長い夏を商機に変えようと意気込む。

具体的には、5~7月を「初夏・盛夏」、8~9月を「猛暑」として、計5カ月が夏シーズンになる。冬は3カ月のまま、春と秋は各2カ月として商品構成を組み立てる。カレンダーの変化に合わせ、今年は夏物の生産量が従来比で20%増える見込みだ。

今年7月は、主力ブランドの「マッキントッシュ フィロソフィー」や「ポール・スチュアート」において、裏地がなく通気性のいいジャージー素材のジャケットやキシリトールなどの成分を特殊プリントした接触冷感生地のカットソーなどが売れた。

8月は以前なら秋物の早期展開をしていたが、今年は盛夏シーズンと同様の夏向け素材を使った商品を投入する。これは長引く暑さの中で夏物商品が不足し、販売機会ロスに苦しんだ昨年の反省が生かされている。

夏物の中でも、秋をイメージした色のジャケットや薄手の羽織物、5~7分袖のトップスなど、秋にもそのまま着用できるデザインを狙っている。

夏物を増やすことで、収支改善も期待できる。アパレル企業にとって、コートやジャケットなど高単価の商品が多い冬は一番の稼ぎ時。一方で、商品の単価が比較的安く、重ね着の需要も少ない夏は、稼ぎにくい季節だ。

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