紫式部も予言「清少納言の末路」酷すぎる噂の数々 なぜ式部はこんなにも罵ったのか?その理由
東洋経済オンライン / 2024年8月4日 10時0分
「少納言、無下にこそ成りにけれ」
少納言は悲惨なことになってしまった――。
かつては定子のそばであれだけ輝いていたのに……と言いたげである。心配しているふりをしながら、落ちぶれた様をどこか楽しんでいるように見えるのは、私だけだろうか。
しかし、説話集『古事談』には続きがある。
桟敷に立っていた清少納言はそれを聞いて簾をかき上ると、「鬼形(きぎょう)のごとき女法師」、つまり、鬼のような尼僧姿をあらわして「駿馬の骨をば買はずやありし」と言った。現代語訳すれば、次のようになる。
「駿馬の骨を買わぬつもりか!」
この言葉は、中国の『戦国策』にある故事がベースとなっている。
燕の昭王が優れた人材を求めていると聞いて、食客の郭隗(かくかい)が「よい馬がほしいならば、死んだ馬の骨を買うとよい」という話をした。「死んだ馬さえ大金で買う」という評判がたてば「生きた馬なら、もっといい値段で買ってくれそうだ」と、自然と馬が集まってくるはず。なので、郭隗は「まず私のような取り柄もない人間を重用してください」とアピールしたという。
ここから「まず隗(かい)より始めよ」ということわざが生まれることとなる。
惨めな晩年は悪意のある伝承
また、この故事「駿馬の骨」から、清少納言はこんなメッセージを込めていたのである。
「優れた女性は老いても大切にする、そんな心がけでないと偉くなれないわ」
さすがは清少納言という切り返しだ。
惨めな晩年については、いずれも悪意のある伝承で、そのまま鵜呑みにすることはできない。だが、才女としての清少納言がひと際、存在感があったことだけは、ひしひしと感じられるのであった。
【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
『藤原行成「権記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
源顕兼編、伊東玉美訳『古事談』 (ちくま学芸文庫)
桑原博史解説『新潮日本古典集成〈新装版〉 無名草子』 (新潮社)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
繁田信一『殴り合う貴族たち』(柏書房)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)
真山 知幸:著述家
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